Memory does not change.

□第六夜
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時が経つのは早いものでここ黒の教団に来てからもう一ヶ月が経った。
仕事もハードさを増し、俺の机や部屋は書類やら本やらで埋まっている。

それはもちろん俺だけではないのだが…。

今科学班の研究員はほとんどが屍と化している。
なぜなら皆徹夜5日目なのだ。すげェな。

どうして俺は大丈夫なのかというと、俺はつい昨日ダウンしたばかりだからだ。
体力がないわけではないが、要領がまだ悪かったり、慣れてないわで皆よりダウンが早い。
だから時々こうやって周りとタイミングがずれる時があるのだ。


(わー…よく見渡せるわ)

皆机に突っ伏してるのでレイの頭の位置がすっきりしている。
向こうの方がよく見渡せるようで、レイは意外とこの状況が好きだった。

それにこういう時に限って、アイツがやってくるから。


「レイー!」

「はは…また来たのかよ」

「まァね」

ラビが辺りに散らかしている書類やらを器用に避けて机にやってきた。
レイの言葉ににっこり笑い、近くの椅子を寄せて座るラビ。

そしてラビはレイの机の上に一枚の皿を置いた。ちゃんと書類を避けて。


「これ…」

「お腹空いてるかなーって。サンドイッチ、これだったら片手で食べれるだろ?」

「…ありがとな、ラビ」

「どういたしまして」

ラビが持ってきたのはサンドイッチ、レイがいつも食べてるものだ。
レイはなんだかどうしようもない気持ちになり、少し俯いてお礼を言った。

ラビは机に肘をつき、俯いたレイに微笑んだ。


「てかお前、タイミング見計らってんの?」

「んー?」

「だって、たいていラビが来るとき静かだよな」

「ああ…」

ラビは考えるように顎に手を当てた。
レイは止めていた手を再開させたが、意識はラビに向いている。







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