Memory does not change.

□第二夜
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静かな森の中、地面を踏みしめる足音が二つ。
片方はしっかりと、片方はなんだか疲れ気味。

そんな二人は真っ黒な服に、左胸には十字架を携えていた。


「もう疲れた。ヘロヘロさぁ」

「しっかり歩きやがれ。鬱陶しい」

「なんで汽車も馬車もないんさ!」

愚痴をこぼし始めたのはオレンジ色の髪に右目を眼帯で隠し、マフラーを巻いた青年。
その青年を一蹴するのは長い黒髪を高い位置で結んだ、鋭い目つきの青年。

二人は一番近い駅から、一時間半ほど歩き続けていた。


「ここは木の根が邪魔で馬車は危険なんだとよ」

「えー、もうこんな木切り倒せばいいんさ」

今度は森の木に文句をつけはじめた眼帯の青年。
しかし、黒髪の青年がさっさと進んでしまったので、眼帯の青年はその後ろに慌てて着いて行くしかなかった。



「なァ、今回のことどう思うさ」

「どうって、何がだよ」

眼帯の青年の名はラビ、黒髪の青年は神田ユウ。
この二人、実は若いながらもエクソシストとして活躍している“神の使徒”である。


エクソシストとは、イノセンスと呼ばれる“神の結晶”を操り
この世を終焉へと導こうとする“千年伯爵”が造り出した悪性兵器“AKUMA”から世界を守る聖職である。

二人はイノセンスに選ばれし者。
イノセンスに選ばれたならば、その身をていしてアクマと戦わねばならない。



「ほら、二十年前にも同じように町がアクマに滅ぼされたって、コムイ言ってたし」

「さァな、何の関係もないだろ…どうせ」

「どうかなぁ…」


今回このラビと神田は、ある小さな町がアクマによって破壊されたという報告を受け直ぐに任務に出た。
黒の教団から任務を出されこの町に来るまで、もう約一日は経っている。

任務内容は、生存者はおらずとも、その原因を調べろ、とのことだった







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