white whale!

□第十六章
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「んでよ、おれ達が着いた時二人ったら抱き合っちゃってまー。空気読みゃよかったなァ」

甲板で船員を集めやけに楽しそうに話すサッチ。
サッチの話に船員達もゲラゲラと大笑いしている。

そんな集団へと近付くのは青筋を立てているユウトである。


「サッチーーーー!!」

「どわっ」

船員達をかき分けサッチに飛び蹴りをするが、間一髪で避けるサッチ。
ユウトはかなり良い音をたててその場に着地した。

先ほどの蹴りは結構本気だったようだ。


「てめえ何ある事ない事くっちゃべってんだァ!!」

「はー?全部真実だろうが」

「森の真ん中で動物に囲まれて抱擁を交わしあつい口付けをしたって、どこが真実なんだよ!!」

「あれれ?動物じゃなくって火に囲まれてたんだっけか」

「どーでもいいわ!そこは!キスなんかしてねェよ!!」

ユウトは怒りやら恥ずかしさやらで顔を真っ赤にして怒鳴った。
サッチはそんなユウトに構いもせず笑顔だ。周りの船員も楽しそうに笑っている。

ユウトはますます怒れてきたようだが、諦めたように溜め息を吐いた。
そんないつもと違う様子にサッチが首を傾げる。


「どうした?」

「…なんか、エースに避けられてる」

「え?」

「話しかけてもそっけないし…」

「…」

ユウトの言葉にサッチは顎に手をあて考え込んだ。
そしてこれまでの事を思い出し、ああ、そうかと手を叩いた。









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