white whale!

□第四章
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「どうする?マルコ」

「とりあえず、4番隊で敵船を落とせ」

「了解、まーあの数だったら楽勝だな」

「ああ、そこまで有名な旗じゃないよい」

マルコとサッチが今までにないくらい真剣な顔をしている

流石だ、でもやっぱり皆強いから余裕が見える



「エース、俺はどしたらいい?」

「ユウトはまだ無理だ、隠れとけ。俺が倒しとくから」

エースがニッと笑った


「了解、エース隊長」

そういって手を挙げ、笑い返した

皆が甲板に出て行くなか、その流れに逆らうようにして移動した

にしてもやっぱり海賊だ、なんだか楽しそう


どーせ皆強いし、戦いを見てみたい気もしないでもないので

結局ドア近くの壁にもたれるようにして見学することに決めた



砲撃音が轟く

船にも何発か降ってくるが、マルコやエース、他の船員達が守っている


「すげ…」

思わず漏れた感嘆の声


すると今度はモビーディック号(この前マルコに教えてもらったこの船の名前らしい)に船が横付けされた

大きさはこの船より小さいが自分にとっては十分デカイ


「うおおおっ!!」

と叫びながら敵さんたちがロープや梯子やらで乗り込んでくる

最初の数人はマルコによって吹き飛ばされ甲板に足をつく前に海に落ちた

あまりに間抜けだったので笑いそうになり堪える


流石に戦闘中に笑っちゃマズイよな、と思ったのだが

他の船員達は笑っていた



「いいのか、笑って…」

そんな態度に腹を立てた敵は一気に攻め込んできた

甲板の上は本格的な戦闘に入ってしまった


さすがにだらけ切ってみるのも危ないので

壁から背中を離しておく、あまり意味はなさそうだが…


だって誰も気付きゃしない

皆、自分の目の前の敵に精一杯なんだろう…



「別に…影が薄いとかじゃねーから」

ボソッと呟いた言葉にも誰も反応しない



ずっと見ていたが明らかにうちが優勢、皆余裕のよっちゃんで戦っている

あー…これ見てると楽しそうに見えるから恐ろしいな



だから、俺も油断していた

つい昨日海賊になったばっかなのに、油断するなんて俺はなんて馬鹿なんだ



「っ!!」


ガッ


すぐ隣にある影に気付くのが遅すぎた


殴られたのか

左頬に鋭い痛みがはしり、壁に背中を打つ


「いっ…!!」

口の中に鉄の味が広がる



そんな呑気なことを考えているうちに胸倉を掴まれ床に打ち付けられた


「うっ…く、そ…!」

背中にきた痛みと同時に胸に圧迫感

苦しい、まじイテェ…



薄く目を開けると、嫌な笑みを浮かべて俺を見下ろす男が目に入った



首の右側にヒヤリと冷たいものが当たった

直ぐに分かる、剣の刃だ







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