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□夏祭り
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久しぶりに夏祭りに行きました。
そしたら色んな人に会いました。おっかなかったです。

急な思いつきとは恐ろしいものですね…。



「へぇ…結構賑わってる」

祭りの音に誘われて大通りに出てみると、きらびやかな飾りであたり一面明るかった。
それにたくさんの人の声で夜なんて到底思えないくらいだ。

普段は図書館とか静かな所を好む僕でも、笑顔で踊る大人やわたあめやりんご飴をおいしそうに食べる子供を見れば
たまにはこうゆう日があってもいいか、なんて思えてくる。

僕も何か買おうと屋台に向かったとき目の前が真っ白になった。


「うわっ…」

と思ったら何かに当たって後ろに転んでしまった。

すいません、そう謝ろうと思い顔をあげた。
まァなんてことでしょう。海軍の最高戦力である三人の大将さんがお揃いではないですか。

ぶっちゃけ威圧感ハンパないです。
一体何をどれだけ食べればそんなに大きくなれるのでしょうか。

僕今ちょっとどころじゃなくパニックに陥ってます。



「大丈夫かい?」

「あ、はい…どうも」

なんとなくだるそうな雰囲気をもった大将青雉さんが僕の腕をひいた。

こうやって立ってみても身長差はまったくもってうまらない。
というかさっきより見上げるのがきつい。首が痛いですね。



「君ここの島の子なのかァい?」

「…ええ、まぁ」

間延びしたような話し方で尋ねてきたのは大将黄猿さん。
サングラスの奥の瞳がきらきらしているのは気のせいでしょうか。



「じゃあ、せっかくだからこの辺案内してよ」

「えっ」

ちょっと前かがみになりながら青キジさんがそう言ったのでつい大きな声をあげてしまった。

せっかくってなんだろうか。
正直なところ僕は一人で夏祭りを楽しみたいし、こんなおっかない人たちとは歩きたくない。

だけれどそんなおっかない人達を目の前にそんな事言えるはずもなく戸惑っていると
強面な救世主がやっと登場してくれました。



「祭りなんぞ誰かに案内してもらうモンでもなかろう」

「………」

その言葉を待っていましたとばかりに声がした方を見るとびっくり仰天。
なんと大将赤犬さんは両手いっぱいに綿あめやりんご飴やら沢山の食べ物を持っていた。

確か僕が一番最初に見たときは何も持っていなかったはずだけれど…。
さっきの短い時間にこれだけ買ってきたのでしょうか。

恐ろしいですね、流石大将です。



「悪いね…はい、あげる」

「…ありがとうございます」

青雉さんは赤犬さんが持っていた綿あめとりんご飴をひょいっと取ってこっちに差し出した。

僕はなんでしょう、子供にでもみられているんでしょうか。
まァでも二つともいただきますけれどね。

ぺこりと頭を下げてお礼を言えば青雉さんは嬉しそうに僕の頭を撫でた。
ついでになぜか黄猿さんと赤犬さん(食べ物危ない)も僕の頭を撫でコートを翻して去っていった。

正義と書かれてその背中がなんとも眩しく、今更ながら何て人たちと出会ったのだろうと実感した。

僕は完璧子供扱いされていたけれど。





「…どこかで座って食べよう」








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