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□牢屋の君に
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ここは海底の監獄、インペルダウンの地下6階。最下層「LEVEL6」“無限地獄”。
そこは上の階のように過酷な環境ではない。

だが、無限に退屈なのだ。
ここの囚人達は政府により存在をもみ消された者の集まりだ。

そんな中に僕はいる。

ずっとずーっと、ここにいる。
もの凄く長い時間だ。

いや、そんなに長くないかもしれないし、本当に凄く長いかもしれない。
僕自身そんなに歳いってないからそこまで長くないだろう。

でも僕自身今何歳なのかも分からない。
ここには時計すらないから。


そんな僕はLEVEL6の少し小さめの牢屋に一人で入れられている。
両手両足に手錠をつけられ、少し動くたびに鎖が音をたてた。



「ヒマ…」

もう今まで何度吐いたか分からない台詞。
だってヒマなんだから仕方ないじゃないか。

ここの環境では暑いも寒いも疲れたも、何の感想も出てこない。
ただただヒマ、なのだ。


そうボヤボヤと頭の隅で思考していたとき、鈍い音が聞こえた。
誰かが殴られる音だ。きっと獄卒獣にでもやられているんだろう。


「んー…」

寝転んだままの体制で顔を音のしたほうへ向けた。

そこには傷だらけの状態で腕を枷で壁につるされた黒髪で顔にそばかすのある男。確か最近入ってきた奴だ。
あー痛そう…ほとんどここに来る前の傷だな。なんだ、喧嘩でもしたのか?


「おい、アンタ大丈夫か?」

「!…お前、居たのか…」

「失礼だな、ずっと居ましたけど」

「…その歳でか?」

男は不審げな顔をした。

それはきっと僕のような歳の奴がずっとここにいることを不審に思ったのだと思う。
つまり僕の外見はまだそう思える歳だということだ。



「アンタ名前は?」

「お前、おれの事知らないのか?…ああ、いや。おれはエース、ポートガス・D・エースだ」

「エース、か。さァ知らないな」

僕が頭を傾げると、エースは何がおかしいのか少しだけ笑った。
でもそれは僕には自嘲的な笑みにしか見えなかった。








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