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□痛くない痛くない痛い
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「はーなーせよッ!!ちくしょう!!」

「…それにしても、似てるよい…」

「ああ!?意味わかんねェよ!このハゲ!!」

「………」

「あーあ、言っちゃいけないことを…」



ここは白ひげ海賊団の船、モビーディック号の甲板の上

数人の隊長とたくさんの船員達が一人の男を取り囲んでいる

その青年は腕を後ろに縛られた状態で胡坐をかいて怒鳴っている



「お前名前はなんてんだよい」

「てめェらに名乗る義理はねェ」

「名乗れ」

「うぎ……っ」

一番隊隊長のマルコは、そっぽを向いた青年の頭をわしづかみこちらを向かせた

青年は最初こそ奇声をあげたものの、マルコがどんなに手に力をいれても動じない

そんな青年にマルコは奇妙さを感じた



「…ジンだよ」

「ん?」

「名前だよ、なーまーえ」

「そうか、ジンか」

青年の頭から手を離したマルコ

しかし、青年はマルコから目を離さなかった

そしてそのまま睨むようにして口を開いた



「で?かの有名な白ひげ海賊団がおれになんの用なワケ?」

そんなかの有名な白ひげ海賊団を目の前にして、ここまで生意気でいられるジンという青年も相当だ

そう船員達は思っていたに違いない



「ああ、人違いだよい」

「人違いで拘束すんのか!?お前らは!!」

マルコの言葉に青筋を立てるジン

どうやらジンはずいぶんと短気な性格のようだ



では、数時間前に戻り、なぜジンが白ひげ海賊団に拘束されなければならなかったのか…

それは、ある島に白ひげ海賊団が上陸したことから始まった



「なーー、いいだろ別に」

「ダメだよい」

「帰ってからやるって…」

「そう言ってやらねェだろ、お前は」

「あーー」

ここは二番隊隊長であるエースの部屋

エースは机に向かい、マルコはその後ろで見張るように立っている


エースは先日の任務の報告書を書くよう言われていた

しかし、エースが書き終わる前に島に着いてしまったのだ

しかもタイミングの悪いことに、その島は祭りの時期でとても賑わっていた

エースがそんな島に行きたがらないはずがないのだ



「別にすぐ出航するわけじゃねェんだ…明日にでも行きゃいいだろい」

「別に報告書ぐらい、いつだっていいじゃねェかよ」

「…まったく」

「おっ」

溜め息を吐いたマルコに一瞬、一瞬だけ期待したエースだが


「終るまで船降りるなよい」

「…はああ」

次のマルコの言葉にがっくりと肩を落とした

その後マルコはエースを一人残し、部屋を去っていった

しかし、それがいけなかった




「マルコ隊長!エース隊長が…!!」

「ったく、アイツは…」

「あーあ、どうすんだ?」

「サッチ…もちろん追いかけるよい」

「おー、恐い恐い」


エースが逃走した

そのエースを追うマルコ

一番隊隊長と二番隊隊長の追いかけっこが始まり







「はァ…こんなとこにいたのかよい、エース」

「……あ?」


あっという間に終了した、かのように思われた

しかし




「おれはエースじゃねェ!!」

「…ん?」


モビーディック号の甲板まで引きずってきたところでマルコはおかしなところに気付いた

それは、エースが普通の縄に捕まっているという事

エースならば体を炎に変えて縄を焼き切ることぐらいするだろう



そして、エースだと思っていたその青年の怒鳴り声で疑問は確信へと変わった









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