I do not believe me.

□第一話
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「おい、どういうことだよ…」

ジャンが思わず立ち上がりそう尋ねた。



「この人、すごい強いんだ!一人で何体もの巨人を一瞬で倒してた!この人ならできる!」

「…一人で何体も…?」

信じられないという風に呟くジャン。

リトの顔をじっと見つめ、訝しげな顔をしている。



「本当ですか…一人で、この状況をどうにかできるんですか…?」

「………できる」

「!」


離れたところから会話を聞いていた訓練兵たちも動揺している。

そして同時に、歓喜していた。
しかしリトの次の言葉でその喜びはかき消された。



「ただ、ガスも刃も十分で、お前らが居なければ…だ」

「な、そんな…」

ジャンは絶望し膝をついた。



「くそ、期待させやがって…!」

どこからかそんな声が聞こえる。



「まぁ待て。話を最後まで聞け」

「……」

「絶対に出来ないとは言ってない。もう少し人数が必要だ、出来れば実力者がいい」

「そんな奴…」

ジャンが顔をしかめたとき、辺りがざわついた。
会話から察するに、どうやら誰かがやってきたらしい。


「ミカサ!」

「ミカサ…?」

「そうだ、あいつなら出来る!訓練兵で後衛部を任されてた…!」

「!…なるほど、確かに可能性はある」


ミカサ・アッカーマンは特別な存在であるエレン・イェーガーを探しに来たのだが、そのエレンはすでに死んでしまっていたらしい。
しかし、それでもミカサは嘆き悲しむようなことをしなかった。

同期であるマルコ・ボットに状況を確認した。



「本部に群がる巨人を排除すればガスの補給ができて皆は壁を登れる、違わない?」

「あ…あぁ、そうだ…。し、しかし…いくらお前がいてもあれだけの数は…」

「できる」

ミカサはそう断言した。




(俺の存在、忘れられてるな…)

そんな中、リトはちょっとだけ悲しんだ。






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