I do not believe me.

□第一話
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リトは立体機動装置を付けてすぐに駐屯兵団の本部に向かった。



「あ…イアンさん」

「!お前…リト!なぜここに…」

リトは知った顔を見つけ駆け寄った。
駐屯兵団に所属するイアン・ディートリッヒだ。



「調査兵団は壁外調査に行ってたはずだが…戻ってきたのか?」

「いえ、俺は体調不良で待機命令を出されたんです。もう治りましたが」

「そ、そうか…これは運がいい。お前が居ればかなりの住民を救える」

「…」

リトの実力が相当なものであることをイアンは承知していた。

あの人類最強のリヴァイ兵士長には劣るとも、全く及ばないということもない。
実績も経験もかなりのものだった。


「リトは後衛部について住民の避難が完了するまで壁を守れ」

「……」

リトは返事をせず辺りを見回した。

たくさんの兵士たちが慌ただしく動いている。



「彼ら…訓練兵ですね。かわいそうに…」

「ああ、所属兵団を決める前に戦いに駆り出されるなんて異例だ。
しかし彼等は卒業演習に合格した兵士だ。仕方ない」

「演習と実践は天と地との差です…イアンさん、彼等の配置は?」

「中衛部だが…?」

「俺も中衛部につきます」

「は!?」

そう言ってガスの補給に向かおうとしたリト。

しかしイアンに腕を掴まれ動きを止めた。
リトは無表情のまま首を傾げている。


「お前は後衛部で住人を守れと言っただろう!」

「それは駐屯兵の精鋭に任せます。俺は訓練兵を少しでも多く生かしたいので」


リトはイアンの手を振り払い、軽く頭を下げて走り去っていった。



「…ったく、相変わらずよく分からない奴だ」







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