アホの小説

□手紙屋
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 まずは今の現状を説明してから話を始めよう。 俺の名前は弥生平八(やよい へいはち)今俺のいる星は、亜人という人間よりもはるかに優れた技術を持ち、多くの星に興味をもち、人間よりもとんだ桁外れの力を持つものがいる。 亜人が支配する星だ。 しかしやつらの姿は地球人と動物を掛け合わしたような姿をしている。 中にはその姿になれずに森や海などに生息し、獣として生きている生き物もいる。
 俺の今住んでいる星は見た目は16世紀あたりの地球と言えよう、というよりそうだ。
 やつらは急に空から現れたと思ったとたん光を発して俺たちを包んだ。 目を開けると時代戦国村のような建物が並んでいた。 そしてやつらは俺たちの前にでてきて

「君たちには今から、江戸を再現してもらう」

と、言った。
全くおかしな話だ。 抵抗はしなかったのかって? もちろんしたさ、しかしさっき話した桁外れの力を持った亜人に、すぐに押さえれた。 まさに秒殺だった。 そしてしかたなく俺たちは従っているという訳だ。 この生活が続いて早もう10年。 7歳だった俺も立派な17歳になった。 俺はもともと孤児だったから、親無しで育っている。 だから親に不自由した覚えたない。 まぁ親無しは亜人に育てられているのだが・・・なんとも言えない違和感があった。



 そして今日、俺は地球でいう就職面接の日。 最近は景気が難しく、孤児院を卒業した俺は就職口を探していた。 そして俺はある店の前に立っていた。 なんの店かって? それは、

「ようこそ手紙屋へ」

 そう言って店の中から出てきたのは狐の亜人だった。 背は190ほどだろうか、目が細く、柄のないシンプルな着物を着て、黒く背中の真ん中まであろう髪を軽く一つで結んでいた。 一つ間違えれば、女性に見間違えてしまう。

「私がここの店主の八狐(やっこ)と、申します」

 亜人にしては珍しい、日本っぽい名前だな。

「あ、もちろん偽名ですよ」

 俺はこけそうになった。 そうか、もちろんなんだ。 出てきてすぐに偽名を名乗る店主はホ○ックぐらい。

「あなたですか?今日、面接を受けたいと言うのは」

 八狐さんは俺の近くまでグイッと近づいてきた。 しばらく俺の顔を見てからやっと離れてくれた。 なんて威圧感だ。

「うん、いいでしょう。採用しましょう」

はい?

「え、あ、の・・・」

 俺は八狐さんを止めようとして声をかけた。

「質問は手短にお願いします」

尺にさわってしまったのか、少し怖い。

「あ、あのこれでいいんですか?」
「なにがです?」

な、なにがって・・・

「顔を見ただけですよね?」
「だから、なんです?」

 声のトーンが落ちてきたせいか、迫力と恐怖感が増す。

「え、とだから」
「働きたくないんですか?」
「そ、そんなこと!」

俺は手を大きく振って否定した。

「ならすぐに仕事にかかってください、あ、まだお名前を聞いていませんでしたね」
「弥生平八です」
「では、平八君よろしくね」

 そう言って八狐さんは店の中に消えていった。 ポカーンと俺はその場に突っ立ていた。 そのとき後ろから大きな音が聞こえた、何かが走ってくる音だった。 その音はだんだんこちらに近づいてきた。

「どけぇぇぇぇー!!!」

 その姿は砂埃のせいで50メートル先にきてやっと見えてきた。 あれ?あの人ここに向かってないか?

「そこ!!どきやがれぇぇぇぇ!!!!」
「うをぉぉぉ!!!」

思わず避けようとして、避け切れなかった。

「「うわぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

 ガタンゴンッ!ドン!!パリーン!!!

「いてて・・・」

 起き上がると、俺の膝の上で男の子は目を回していた。 どうやらこの子は地球人のようだ。

「何事です?騒がしい・・・翔、何をしているのですか」
「あ!」

 男の子はパッと立って八狐さんに敬礼した。 失礼だが、敬礼は右ですよ翔君とやら。

「海野翔!ただいま戻りました!」
「はいはい。大丈夫ですか?平八君」

 そう言って八狐さんは手をさし伸ばしてくれた。 その手を掴み俺は立ち上がった。

「あ、ありがとうございます」
「八狐さん誰です、こいつ」

翔君は俺に一人差し指を指して言った。

「あ、あの今日からここで働く弥生平八と申します」

 年下とはいえ、この仕事では先輩なのだから一様敬語っと。

「ふーん」

興味なさそうに翔君は俺を見てきた。

「平八君この子は海野翔(かいの しょう)って言います。私にとって弟のような存在です。あぁちなみにこれでも19歳です」

 へぇ19歳・・・え、19!?俺より上なの!?マジで!?

「お前今疑っただろ」
「い、いいえ!そんなこと」

勘のいい先輩だ。

「さ、翔も帰って来たことですし、後はお鏡姉さんが帰るのを待つだけですね」
「他にもここで働いている人がいるんですか?」

 俺は八狐さんの隣に立った。本と、身長たけぇ。

「えぇ、翔のお姉さんなんです。と言っても血はつながってはないんですけどね。今買出しに行ってもらってるんですよ、もうすぐ戻ってくるはずですよ」

 結構複雑なんだなぁ・・。でもお鏡さんか、名前的に、やさしくて綺麗な人だといいなぁ

「ふっ」

いきなり海野先輩が笑った。

「な、なんです?」

「お前今、姉貴のこと考えてただろ」

本当に勘のいい先輩だな。

「きっとお前の創造してるよりももっとすげぇぞ」
「何ですかその漢字変換は、想像だと思いますよ」
「いや、創造だ。まぁ見ればわかるさ」

 そう言って海野先輩は奥に消えていった。 勘がいい上に変な人だな。

「ただいまぁ」

 後ろから女性の声が聞こえたので俺は満面の笑みで振り返った。そこに居たのは。

「しょ、娼婦!!?」

 拳がすごい勢いで飛んできた。
 本当だ、先輩の言うとおり、俺のお鏡さんは創造だった。
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