颯大と李亜
□恐怖心
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李亜を初めて抱いてから、李亜はまた、自分の勉強部屋にこもりがちになった。
「李亜?」
ビクッ
「何もしねぇよ。それより、寝る時間だろ?」
時計を見ると11時。
「オレ、ちょっと出掛けっから寝てろよ」
「はい…」
オレは李亜に用件だけ言って部屋を出た。
誰も入らないように鍵をかけて。
本当は…出掛ける用事なんてなかった。
オレは煌の部屋に行って時間を潰す。
「どうして、李亜ちゃん寝るまでオレの部屋で時間潰すのさ」
煌は末の妹の星羅(せいら)の寝顔を見ながら言う。煌は妹が5人いる。
星羅は、まだ、5歳だからか、兄貴である煌にベッタリなのだ。
「李亜がオレの顔みると怯えるからな」
「だから、寝る頃まで時間潰しね。オレは構わないけど…李亜ちゃんはどうなんだろうね」
「李亜?」
「恐怖心あるなら、今、安心させてあげられるのは颯大だけだよ?」
煌は星羅の頭を撫でた。
「李亜ちゃん、学校以外、部屋から出してあげてないでしょ?」
「………」
「家族とも離れてるから颯大しか頼れる人いないんだよ?」