颯大と李亜

□約束
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1ヶ月近く掛かって、李亜は、回復した。

李亜は、毎日学校から帰って来ると、自分の部屋にこもって、勉強してる。

休んだ分のノート写しに毎日の宿題。

「李亜」

呼んでも返事がない。
いつもなら、呼んだらすぐにトテテテ…と走って来るのに。
部屋に行くと李亜は疲れてるのか、寝ていた。

「李亜!風邪引くぞ」

熟睡してしまっているらしく返事はない。
ここのところ、大人しいと思って様子を見るとウトウトしてたり、寝てしまってたりすることが多い。
ソファやベッドに座ってれば、ウトウトして倒れるように横になってるし。

今日も、声を掛けても揺すっても起きる気配はない。

「ったく」

オレは李亜をベッドまで連れて行く。

寝かせて布団を掛ける。

最近、また、軽くなったか?
ちゃんと食わせても食が元々細いしな。
体力も落ちてるだろうし。

李亜の柔らかい頬に軽くキスする。

「…ん…?」
「起こしちまったな」
「アタシ…」
「勉強しながら寝てたんだ。無理すんな」
「ごめんなさい…」

李亜は悲しそうな顔をする。

「なぁ、明日、出掛けねぇか?」
「え?」
「学校休みだし、約束したろ?元気になったら、行きたいとこ連れてってやるって」
「でも…」
「まだ、ノート写しがあるってんだろ?たまにゃ息抜きも必要だろ」
「はい」

李亜がやっと笑った。
ここんとこ疲れた顔しか見てなかったからな。
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