shortDream3
□魔法使いに5のお題
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今日もまた、月が綺麗で眺めていれば、あの魔法使いさん‥基、怪盗キッドさんが現れた。
彼が現れた事に笑みを洩らせば、彼も私の顔を見た途端、笑んでくれた。
「こんばんは、楓嬢。」
そして前と同じように跪いて、私の手を取り甲に唇を落とした怪盗さん。
二度目とはいえやはり慣れないな、と思いながらも私は怪盗さんを見つめた。
立ち上がった怪盗さんは微笑むと、今宵のお願い事はなんでしょうか、楓嬢?と言った。
特に考えていなかった私は、え、と声をもらす。
私が特に考えていなかった事を悟ったのか、怪盗さんが、焦らずゆっくり考えて下されば構いませんよ、と優しく言ってくれた。
「嗚呼、そういえば。」
するとふと思い出したように、怪盗さんが私を見て言った。
「私からも、お願い事を2つ程しても?」
私はその言葉に目を見開いた。私には怪盗さんみたいな事はとてもじゃないけれど出来ない。
戸惑いつつも、私に出来る事であれば、とゆっくりと頷く。
その返答に満足そうに笑った怪盗さんは、では早速、とにこやかに告げた。
「敬語は使わないで下さい。そして怪盗さん、ではなく、キッド、とお呼び下さい。」
「そんな事で、良いんですか?」
きょとん、として相手を見上げれば、怪盗さんは、私にとっては大切な事なんです。と笑った。
私は納得がいかなかったが、そんな事で良いのであれば、と渋々と頷いた。
「‥あ、そうだ。キッド!私ね、甘いお菓子を出してほしい!」
キッドの裾をくいくいと引っ張りながら、2つ目のお願い事!と言ってにこりと微笑めば、キッドは分かりました、と言った。
「one…two……three!!!」
ぽんっと軽い音を立て、キッドの両手に溢れんばかりに現れたのは、色とりどりな飴だった。
私は部屋の中からかごを持ってきて、その中に入れてもらうとありがとう!と微笑んだ。
「どういたしまして。‥けれど、こんな夜中にあまり食べてはいけませんよ?楓嬢。」
そう言って私の頬に唇を落として、ぽんっとその場からキッドは消えてみせた。
私はほんのりと赤くなった頬をおさえて、キッドが先程までいた場所をぼー、っと見つめた。
甘いお菓子を出して
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