shortDream3

□投げやりアドバイス ひとつめ
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「今晩は。こんな夜遅くにベランダに出ていると、風邪をひいてしまいますよ、お嬢さん。」


そう言って私の隣に舞い降りたのは、最近世間を騒がしているらしい怪盗キッドさんだった。
なんでそんな奴が此処に来るんだ、とジトリとした目を向けるが、その怪盗さんは特に動じた様子もなく、笑ってみせた。

それになんだか腹が立った私は、目を逸らした。

それから何故か沈黙が続いたので、痺れを切らした私は再びキッドの方へと視線を向けた。
キッドは口元を手の甲でおさえ、目線をうろうろとさせていた。
その頬はどことなく赤いように思えるのだが、気のせいだろうか?


「‥どうしたの、貴方。」

「っいえ、‥ただ、貴方があまりにも綺麗だったので。」


そう言って私の前に跪き、私の手を取ると甲に唇を落としたキッド。
ゲッと思った私はまた、視線を逸らした。

キッドは気障だと聞いていたが、ここまでとは、と寒気がした。
どうもこういう人が苦手な私は、その後すぐに部屋へと戻った。
どことなくキッドが嬉しそうな顔をしていたのが不思議で仕方がなかった。



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