shortDream3

□好きだから
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いつも、つい、見つめてしまうんだ。
彼の事が気になってね。
彼が、上手くやってるかどうか、気になってしまって。

幼くなってしまった彼を見て、私はふ、と微笑んだ。


「楓ちゃん?どうかしたの?」

「んーん。何でもないよ、歩美ちゃん。」


クラスメイトで、仲良しの歩美ちゃんがきょとん、と私を見た。
私は首を横に振りながらそう言った。


「そっか!あ、そうだ。楓ちゃん!今度一緒にお出掛けしない?」

「うん!勿論良いよ!」


笑顔でそう答えれば、歩美ちゃんは嬉しそうに笑った。

こうしていれば誰だって気付かないだろうな。
私が彼と同じ、本当は中身は高校生なんだって。

彼はきっと毎日のように、必死に私を探してくれている事だろう。
彼が幼くなった日と同じ日に、私が姿を消したのだから。
彼と私は幼馴染という関係にあったのだ。きっと彼は優しいから、探してくれている。

でも。私はまだ彼に伝えていない。
私もこの通り、小さくなっちゃったんだよ、と。
彼に無事である事を伝えたいとは思う。
けれどね。だけれどね。

好きだから、伝えないの。
好きだから、秘密にするの。

それだけだ。

好きだったら、伝えるべきだろう、と思うかもしれない。
でも、私は彼に迷惑を掛けたくなかった。
ただでさえ、彼も小さくなって大変なのだから。

まぁ彼と同時に転校してきたのだから、バレてしまうのは時間の問題なのだが。

そこで楓ちゃん!と歩美ちゃんに大きな声で名前を呼ばれ、思わず驚いてそちらを見た。


「もう!歩美が何回も名前呼んだのに、気付かないんだもん!本当、どうしたの?」


少し心配そうに尋ねてきた歩美ちゃんに苦笑しながら、大丈夫大丈夫、ちょっと昨日遅くに寝ちゃって眠いだけだから、と適当に言い訳をする。

そこで先程まで少し離れたところで光彦君と元太君と話していたコナン君が、2人と一緒に近くに来ていた。

一瞬、胸が高鳴った。


「あれ、そうだったの?」

「うん。心配掛けちゃってごめんね?」


私が歩美ちゃんにそう言えば、歩美ちゃんはううん!と首を横に振って笑んだ。

そこでふと視線を感じた。
それを辿っていくとコナン君と目が合った。
コナン君は慌てて目を逸らした。


「何?コナン君。」

「べ、別に何でもねーよ!」


彼はそう言っているが、薄々気づいているのだろう。
確信は得ていないのだろうが、私が私だと気付いてきている。
本当に、バレるまでそう時間は掛からないな、と思った。


「もしかしてコナン、楓の事好きなんじゃねーか?!」

「あ!有り得ますね。コナン君、いっつも楓さんの事ばかり見てますからね。」


そうからかうようにコナン君にそう言った光彦君と元太君に半ば呆れる。
そんなわけないでしょーがよ。あのコナン君…新一だぞ?
コイツにはちゃんと毛利蘭っていう好きな人がいるんだから。
あ、言ってて悲しくなってきた。


「っば、バーロー!そんなんじゃねーよ!!」

「コナン君顔真っ赤ー!」


あははは、と笑う歩美ちゃんの声。
慌てて否定するコナン君の声。
それをからかう光彦君と元太君の声。

私はぼー、とそれらを聞きながら窓の外を眺めた。




私は貴方の事が好きだよ。
好きだから、伝えないよ。
新一。



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