shortDream3

□それは
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ぽたぽた、零れ落ちたこの液体の正体は、涙だ。
何故それを流しているのか、私には全く分からなかった。

そういえば、私は何故此処にいるのだろうか。
そもそも、此処はどこなのだろうか。
そして私は誰なのだろうか。
ワカラナイ。分からなかった。


「雨音‥?」


不意に声が聞こえた。その声がどこからしたのか分からず、辺りをきょろきょろと見回せば、背後に1人、男性が立っていた。


「雨音。どうしたんだ、こんな所で。ほら、あっちで皆待って‥‥なんで泣いてるんだ?」


振り向いた私を見て動揺した彼。
貴方は誰?皆って、誰?雨音って、私の事なのだろうか?


「ワカラナイ‥分からない、何、何‥?」


分からない事が多すぎて、私は頭を抱え込んだ。
涙は未だに頬を伝って、地面にぽたぽたと落ちている。


「おい、どうしたんだよ‥?」


一歩、こちらに踏み出してきた彼に、私は一歩後退した。
何、貴方は、なんなの、


「あなたは、ダレ‥‥?」

「―――?!」


驚いたように目を見開いた彼に、私はただ混乱するばかりだった。
何か、私は拙い事でも言ったのだろうか。


「お前…本当どうしたんだよ?!なぁ、雨音!!」


私の肩をガッと掴んで揺らす彼に、私はただ只管謝った。
わけもわからず、謝った。
それから彼はハッとしたようにゆっくりと私を掴んでいた手を離した。


「‥ごめんな。」


なんで貴方が謝るの?
悪いのは、何も分からない私、なのに。


「なんで、」

「俺なんかより、お前の方が混乱してるっていうのに、責めるような事してさ。」


俺、最低だよな、と悲しげに笑う彼は、間違いなく私の知り合い‥ううん、大切な人だったのだろう。
彼の事を思い出したいのに思い出す事が出来ない。
そんな自分に腹が立つ。


「ううん。貴方は最低なんかじゃないよ。」


最低なのは、何も思い出す事が出来ない‥忘れてしまった、私。

相手の目が見開かれ、それから今度は少し呆れたように笑われた。


「性格は変わらないな。」


なんて答えて良いのか分からず私が黙っていると、目の前の彼は再び口を開いた。


「俺の名前は日向創だ。無理に思い出そうなんてしなくていいからさ、ほら。」


泣き止んでくれよ、と涙を指で掬う彼に、不思議と安心感を覚えた。



それは二度目の恋




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