shortDream3

□縮まる距離
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「ぎゃっ」

「てっ」


そんな声が同時に上がった。
僕と誰かがぶつかってしまったようだった。
どうやら相手は尻餅をついてしまったようだ。
ごめんね、と言いながら手を差し伸べ、戸惑いながらもその手を取って立ち上がった彼女。


「こちらこそ、ごめんなさい。」


一目見て、綺麗な人だな、と思った。
綺麗さと可愛さが入り混じった感じの顔だった。


「見た事ない顔だけど…ここにいる、って事は君も何かしら才能があるんだよね?嗚呼、ごめんね、僕みたいなゴミクズみたいな奴とぶつかるなんて、最悪な気分だよね。どこか怪我とかしてない?」


思わず長々と喋ると、彼女は更に困惑したような表情になった。
もしかして、どこか痛むのだろうか、と考えるも、次の瞬間、彼女の口から発せられた言葉に、僕はどこか冷めていくのが分かった。


「‥私、予備学科だから才能とか、ないんです。っあ、私は全然平気ですか…」

「君、予備学科の人だったの?なんだ。助け起こして損したな。大体、なんで君こんな所にいるの?君みたいな予備学科の奴が本科にこないでくれるかな?」


相手の目が見開かれる。‥そんな目で見ないでくれるかな。
鬱陶しくて、僕はとにかくその場を去りたくなった。


「とにかく、此処はキミみたいな奴が来て良い所じゃないんだよ。さっさと出て行ってくれるかな?目障りだよ。」


言い残して、僕はその場を去った。


第一印象は薄っぺら
(いや、違うな。薄っぺらどころか、線にも満たない、それこそゴミクズだ。)



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