shortDream3
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私は好きな人がいる。
けれどそれは叶わない恋。
それを分かっていながら、私は今日も、彼を目で追い続ける。
「はよ!」
「おはよう、黒羽君。」
彼、黒羽快斗君は、クラスでも、学年でも、学校全体でも、校外でも人気のクラスメイト。
そんな彼に私はいつしか、心を奪われていた。
どこが好きか、と問われたら、たくさんあるけれど、やっぱり一番は、
「黒羽ーっ!マジックやってくれよ!!」
「お安いご用っほれ!」
黒羽君が、マジックをしている時。
マジックをしている黒羽君はとても輝いているし、何より、マジックをして、皆が喜んでいて、それを嬉しそうに見つめる黒羽君が、大好き。
彼はその時、とても優しくてあたたかい目をしているから。
そんな彼に、私は惹かれたんだ。
私と黒羽君は幼馴染でも、友達でもない。
ただの、クラスメイト。
今年始めて同じクラスになったんだ。
私は噂程度には聞いていたから、彼の存在を知っていたけれど、彼の方は私の事など、これっぽっちも知らない事だろう。
それに彼と私はただ、挨拶を交わし合う程度のクラスメイト。
そんな黒羽君と私が交わる事があるわけがないんだ。
それが凄く寂しくて、私は俯いた。
ごめんね、好きでいて。
でも、もう少しだけ、好きでいさせて。
この、心地好くも悪い、片想いを、もう少しだけ、させて。
遠くで、私が一番好きなあなたの表情を見つめる事を、許して下さい、神様。
あなただから恋をした
(あたたかくて、眩しくて、優しい眼差しのあなた。)
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