shortDream3
□学習室にて
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デートしよーぜ、デート!
俺がそう言うと、楓は頷いた。
その事に少し嬉しく思っている俺に、楓が言った言葉は衝撃的だった。
「図書館で勉強しよっか。」
そして現在。市立図書館に来ているわけだ。
俺は勿論反対したけど、それじゃぁデートはなしだねと言われたら何も言えない。
そう、この通り俺の彼女、楓は真面目ちゃんなのだ。
デートまで勉強する事ねーだろ、と少し不機嫌になりながら、隣で黙々と勉強をしている楓を見る。
俺はというと、勉強なんて真っ平ごめんなのでiPodで曲を聴いている。
しかし、暇だ。デートに暇なんて普通ねーよ。ありえねーって。
でも真面目に勉強をしている彼女の姿が嫌いなわけじゃなくて。
寧ろ、好きだったりする。
じー、とワークと向かい合って、む、と顔を顰めたり、問題の解き方が分かったのか、ぱっと顔を輝かせたり、それが完璧に解けるようになったのか、嬉しそうにはにかんだり。
その表情の変わり様は見ててとても楽しい。
やっぱさっきの取り消し。暇なんかじゃねーや。
コイツの顔見てたら暇潰しになる。
暫くそうしているが、楓は見られている事に全く気付いていない。
もう此処に来て大分時間経ってるなー、と時計を見ながら思った。
そしてふと思いついたそれに、俺は口角を上げた。
紙とシャープペンシルを取り出し、紙にスラスラと文字を書いていく。
それをス、と隣に座る楓とワークの間に入れる。
すると突然の事に、パチパチと目を瞬かせてこちらを見た楓に、口パクで"良いから見てみろ"と伝えた。
楓は首を傾げながらもその紙を見て、数秒後顔を真っ赤にさせた。
それが面白くて、思わず笑いそうになるが慌てて抑える。
楓がその顔のままこちらを見てきたが、すぐに紙に何か書き足すとこちらへ寄越してきた。
‥‥今度は俺が顔を赤くさせる番だった。
学習室にて
((好きだぜ。))
((私も好き。))
(たまには図書館で勉強デートもありかもな。)
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