shortDream3
□はじまり
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今日は久し振りに一人での帰宅だった。
いつもは隣に幼馴染の青子がいた。
今日あった出来事を話したり、ふざけ合ったりしながらいつも帰っている所為か、何度も隣を見て寂しく思ってしまう。
つまんねー。
そんな事を思って、頭の後ろで腕を組んだまま、空を仰いだ。
そんなつまらない、帰り道の途中の事だった。
川の方に視線を向けると、その前に自分と同い年くらいの女子が立っていた。
ぼー、と彼女は先程自分がしたように、空を仰いでいた。
そんな彼女の目から、一筋の涙が流れた。
それはとても綺麗だった。
ゆるゆると流れる涙は、彼女の白い頬をゆっくり伝っていき、ぽたりと地に落ちた。
いつの間にかその様子に立ち止まって見惚れいていた自分がいて。
そして気付けば、彼女の方へと向かっていたのだ。
「お前、こんなとこで何してんだ?」
ゆっくりとこちらを振り返った彼女は、特に驚いた様子も見せずに空を見ていたの、と言った。
それから涙を手で拭うと、貴方こそこんな所で何をしているの、と問われた。
俺は少し回答に困り、少し考えた後に答えた。
「空を見てたんだ。」
すれば、彼女は漸く笑顔を見せてくれた。
はじまり
(オレ、黒羽快斗ってんだ。よろしくな!)
(私は雨音楓。宜しくね。)
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