shortDream3

□レイニー
1ページ/1ページ



「あれっ。雨降ってる。」

「ホントだー。良かった!青子折り畳み傘持ってきてて!」

「アホ子にしちゃ珍しいじゃねーか。」

「むっ。そういうバ快斗こそ、持ってきたの?」

「あったりめーだろぉ?」


ケラケラと笑いながら青子に折り畳み傘を見せた快斗。


「ふんっ。バ快斗なんてほっといて、さっさと帰ろ、楓。」


そう言って私の手を引いて歩き出した青子に慌ててついていく。
すると快斗も私と同じく慌てたようについて来た。

昇降口で、私はとんでもない事に気が付いてしまった。


「‥‥うそやーん。」


鞄のどこを探しても、いつも入れているはずの折り畳み傘の存在が見つからないのだ。
困っていると、青子がどしたのー?と聞いてきた。


「ごめん!忘れ物思い出したから、先帰ってて!」


そう言ってから、慌てて教室へと戻った。
と言っても、教室にはないだろうな、と思う。

案の定、教室にも私の折り畳み傘はなかった。
はぁ、と溜め息を吐いて再び昇降口まで来ると、そこには快斗がいて。


「え、あれ?快斗?まさか青子も‥。」

「アイツは帰ったぜ。それより、オメー忘れ物、あったか?」

「‥あ、嗚呼、うん‥まぁ…。」


微苦笑しながらそう答えるものの、嘘である。


すると快斗がそうか、そんなら帰るぞ、と言って靴箱から靴を取り出した。
私は困ったなぁ、と思いながらも快斗に倣って靴箱から靴を取り出し履いた。


「‥‥何してんだオメー、って‥お前傘は?」


私がいつまでたっても外に出ない事をおかしく思ったのだろう快斗が、こちらを振り返った。
その私の手に傘が握られていない事から、全てを察してくれたのだろう、快斗が苦笑した。


「それでオメー、まさか濡れて帰ろうとしてたんじゃねーだろうな?」

「ハハハ…もうそうするしかないかなぁ、なんて。」


そう苦笑して言えば、快斗にバーロォ、と軽く小突かれた。
その時ふと、こちらに駆けてくる人物が見え、その人物がよく知る者だという事が分かるとその人物に目を丸くした。


「オレがオメーを入れてやっ…」

「楓姉ちゃん!今日傘忘れてったでしょ?ほら、遅くなっちゃったけど届けに来たんだ!」


天使の微笑みでそう言って、私に傘を差し出してきた人物。
それは紛れもなくコナン君だった。


「え。わ、ありがとうコナン君!!これで濡れずに帰れる!」


嬉しくて思わずコナン君の頭を撫でた。
いつもなら子ども扱いすんじゃねーよ、と睨まれるところだが、今は快斗がいるからか素直に撫でられていた。


「ねー楓姉ちゃんはやく帰ろーよ!ねーねー!」


そう言ってぐいぐいと私の手を引っ張ってくるコナン君に苦笑しながら、私は快斗を振り返った。


「快斗も、態々私を待っててくれたんだよね?だから、一緒に帰らない?」


そう言えば、快斗は渋々と言ったように頷いた。
なんかちょっと機嫌が悪いような気がするけれど、気のせいという事にしておこう。



レイニー
((なんっつータイミングでくんだよ名探偵ーッ!))
((急いで来て正解だったぜ…))



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ