shortDream

□メアド交換
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今日も私はワグナリアでバイトだ。
今日は結構人が多くて今漸く落ち着いたところだ。

休憩してこい、と佐藤さんに強く言われ、渋々休憩室へと向かうとそこにはうーん、と何やら唸っている相馬さんがいた。



「どうかしたんですか、相馬さん?」




少し気になった私は相馬さんに声を掛けた。




「あ、楓ちゃん。お疲れ様ー。・・うん、今ちょっとね、電話したいんだけど携帯電話家に置いてきちゃったみたいでさ。





「え?あ、そうなんですか?」






「うん。どうしても電話しないといけないんだけど・・・」





相馬さんは相当悩んでいるようだった。
店の電話を使えば良いのでは、と言おうとしたが、そういえば今日丁度店の電話が壊れてしまっていたんだっけと思い開きかけていた口を慌てて閉じる。
そしてふと思いついた事をそのまま口にする。






「あー・・私の携帯電話で宜しければ使いますか?」






「え、でも悪いよ、」






「いえ、私は全然構いませんから、」





更衣室から急いで自分の携帯電話を持ってくれば相馬さんに渡す。




「ありがとう、楓ちゃん。」





どういたしまして、と言おうとして携帯電話を受け取った相馬さんの表情を見て少し嫌な予感がした。
あのいつもの笑みを浮かべている。
何か企んでいそうなあの笑みを。




「そ、相馬さ・・・あ?!」





相馬さんはいつの間にか私の携帯電話の他にもう1つ携帯電話を持っていた。





「相馬さん?!どういう事ですか?!」






「ん?メアドこーかん。」





「ちょ、え?!何勝手に、?!」






ピロリロンと音が鳴った携帯電話。
それはメアド交換完了のサイン。





「あはは。じゃ、俺そろそろ佐藤君の所行くね!」





私の携帯電話を私の手の上にのせると相馬さんはにこやかにそう言ってキッチンへと歩いて行った。







メアド交換





(こんな事しなくても教えてあげたのに。でも相馬さんなら私のメアドを知る事ぐらい容易だろうに、どうして?)
(手間だけど君の反応を見るのが楽しみだったからこの方法を。)
(分からない。)
(君の反応1つ1つが面白くて。)





Fin.
 

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