shortDream

□小さくてもさ、
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「・・そーへー・・?」



どったの?と先程から珍しく無口で無愛想な宗平に問い掛ける。



「・・・・なんでもない。」




「なんでもなくはないでしょうが。さっきからずっと黙りこくって真剣な顔して。」




「ホントなんもないんだって。」




この様子じゃ意地でも話さないだろうなぁ、と思った私はあ、そう。と少し拗ねてやった。




それにしても春だなぁ、と桜の木をちらりと見て思う。
私と宗平はもう高校2年生だ。
高校1年生の頃は色々あったなぁ、なんてしみじみ思う。
なんだか年寄りみたいな発言をしてしまった自分に少し顔を顰めるものの本当に思った事だし仕方ないか、と思い直す。


「あのさ。」



今までほとんど喋らなかった宗平が突然喋ったので思わず肩をビクリと揺らす。



「ほわ?!吃驚したなぁもう。何?」




はぁ、と息を吐き胸に手を当てる。
嗚呼、ほらバクバクいってるや。宗平の所為だからね。



「・・・・・・・・かな、」




「わんもあたいむぷりーず、宗平君。」





「・・っあーもう、だから、・・身長吉田とかみたいに高い方が良いのかな、って、」




言っていて恥ずかしくなったのか、顔を俯かせそう言う宗平に一瞬歩みを止めた。

桜の花弁がひらり、と一枚風に乗って飛んでいくのが見えた。
嗚呼、綺麗だな。
じゃなくて。




「そんな事気にしてたの、?」





「そんな事って・・結構気にする奴多いと思うよ、こういう事は。」






「ごめんごめん。・・あー、今日身体測定だもんね。」




そういえば、なんて思ってちらりと宗平を見る。
なんだかそんな小さな事(本人に言ったら二度目だし間違いなく怒るであろう)で真剣に悩んでいた彼が愛おしく感じ、そっと相手の頭を撫でる。



「何。背低いって嘲笑いたいわけ?」




「違うよ。っというか私より高いし。悔しいけど。」




「いくらなんでも女子に負けるのはごめんだよ。まぁ高い奴は高いけど・・。」





「まぁね。・・私はこのままで良いと思うけどなぁ。」





「高い方が良いとか思わないの?」





「別に。私そういうの気にしないし。宗平が好きな事には変わりはない。」




我乍ら恥ずかしい事を言ったな、と思い赤くなっただろう顔をなんとか誤魔化す為、宗平の頭を再び撫でた。



「よくそういう事平気で言えるよね・・っと。」



すると突然宗平の頭を撫でていた手首を掴まれてしまい、そのまま腕を引かれる。
そしてぽすっ、と彼の胸の中へダイブしてしまった。



「宗平サン・・・?」




そっと頭に何かが触れ、ゆっくり上から下へと撫でおろされる。





「男が撫でられるって恰好悪いじゃん?だからほら。」





宗平は私の顔を見ていつも通りの笑みを浮かべた。
見慣れている筈の笑みなのに、なんで、なんで。
なんでこんなにも脈が速くなるのだろうか。


「恰好悪くはないと思うけどなぁ。」


心中戸惑っていたがそれを悟られたくなくて、平静を装う。




「俺が嫌なの。」



ぎゅ、と抱きしめられている手に力が籠る。





「それはすみませんでした。」



にへへ、と笑いながらそう返してやると宗平も笑った。
それが嬉しくて、私も宗平の背中に自分の腕をまわした。



小さくてもさ、





君がいればそれで良い――――――






Fin.
 

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