shortDream
□あなたへの想いは誰よりも強い
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「えへへ〜、美味しかったなぁ〜・・*」
へら、と笑みを浮かべて俺に話し掛けてくる楓。
その笑みはとても可愛らしい、と思った。
「そういえばこの間クラインと会ったよね。」
ふと思い出したかのように口を開いて呟いた言葉の1つにクラインという人物の名前が出て来た事に一瞬機嫌を悪くする自分がいた。
「あ・・嗚呼・・そうだな。それがどうかしたのか?」
「うん、クラインがね、何の事かは知らないけどキリト、おめぇには負けねぇ!って。」
その言葉に一瞬首を傾げた俺だがすぐに何の事だか理解した。
薄々気付いてはいたがクラインも楓を狙っている、と考えて良さそうだ。
「キリトは何の事か分かった?」
「さぁな。レベルかなんかじゃないか?」
「レベル・・・だとしたら相当勇者だなぁ、クライン。」
口が裂けても本当の事を言える筈が無く、適当にそう返事をした。
するとくすくすと楓が笑ってそう言った。
クラインに楓を渡すわけにはいかない。
勿論、他の誰にも、だ。
俺と楓は幼馴染だ。
だからか、楓は俺を全く異性として見てくれない。
けれど、前にキリトは背中を任せられる相棒だ、と言ってくれた事は嬉しかった。
異性として全く見てくれない事が悲しいが。
でもとにかくこの勝負、負けるわけにはいかない。
ほとんどに於いて自信を持つ事は出来ないが、唯一1つ、自信を持つ事が出来る・・かもしれない事がある。
あなたへの想いは誰よりも強い
恐らく、そう・・だと思う。
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