shortDream

□雨上がりの
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ぽつり ぽつり ぽつり


そんな効果音が付きそうな感じでアスファルトが濡れはじめる。


私の席は窓際で。だからなんとなくちらり、と窓の外を見てみたんだ。
そしたら雨が降り始めていたんだ。


嗚呼、雨。


どうしよう、傘持ってきてないな、なんて。
社会の授業の所為で眠くなってしまい、ぼー、とした頭でそう考える。


まだぽつぽつ状態だし、走って帰れば大丈夫かな、と思った私は早急に鞄に教科書やらを詰め込んだ。
ちらりと後ろの席の水谷さんに目を向けると彼女もまた窓の外をぼー、と見ていた。
するとすぐに夏目さん、吉田君がパタパタとそこへ駆けつけた。
隣の席の佐々原君はいつも通りのあの笑みでその光景を眺めていた。



いつもはそこの輪に入っている私だけど、今日はそうもいかない。
なんせこれ以上雨が降ってくると帰るに帰れない。
いや、いっそ風邪をひく事覚悟でびしょ濡れっていうのも有りか、なんて考え始めた頭をぶんぶんと横に振る。
それはちょっと・・いや、かなり面倒だ。
ただでさえ授業についていくのがギリギリだというのに風邪なんてひいてしまって熱でも出した日には翌日が勉強的な意味で大惨事であろう。


そうこう考えているうちに雨が少し強くなった気がし、少し焦る。



「楓ー、こっちこいよー!」




そう、吉田君が呼んでくる声がする。



「あー、ごめん、今日ちょっと早く帰らないといけなくって。」



敢えて傘を忘れた事を話さない。
きっとこの人達は優しいから心配して何かしらしてくれるだろう。
それが申し訳なかった。



「ちょっとぐらい遅れたって良いじゃねーか。」




「それがそうもいかなくって。早く帰んないとお母様のお叱りを受けてしまいます故。」




微苦笑を洩らしてふざけた口調でそう言い返すと吉田君はそうか、と少ししゅん、となってじゃぁまた明日なー、と手をぶんぶんと振ってくれた。
私は頷き、また明日、と言い手を振った。



「えっ、楓ー・・一緒に帰りましょうよー・・・、」




「いやいや用事なんだって。」




ごめんねー、と言いながら夏目さんの頭を撫でてやると明日は絶対に一緒に帰りましょうね!と言ってきたので頷いておいた。




「・・・用なら仕方ないか。」




ふむ、と言葉とは裏腹に少し納得がいかないような顔でそう言う水谷さん。



「嗚呼、また明日勉強会でもしよう、水谷さん。」




そう言って笑うと水谷さんは素直にこくり、と頷いた。




「佐々原君も、また明日ね。」





「・・・・ん、また明日。」




意味深な笑みを浮かべているように見えたが敢えて気づかぬ振りをして手を振る。



「それじゃーねー!吉田君夏目さん水谷さん佐々原君!」




「あっ、楓!苗字呼びはやめましょうって言ったのにー!!」




最後の夏目さんの言葉に聞かなかった振りをして小走りで教室を出る。


なんだかんだで時間をとってしまったなぁ、と思い外を見てぎょっとした。




「・・・なんで・・・?」




見事にざーざー降りとなっていて私は暫くそこに立ち尽くしていた。







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