shortDream2

□懲りずにまたちっちゃいネタ
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「少佐…?!」


黒髪の特徴ある長髪の持ち主である真木司郎は驚きのあまり視線の先にいる人物の名前を自然と口にしていた。

昨日、明日は大事な仕事が入っている為早く起きるように兵部に言ったのだが、中々起きてこない兵部に半ば苛立ち急いで兵部の部屋に来たのである。

大きな音をたてて扉を開けた真木はベッドが膨らんでいるのを目にした。
これも仕事の為だとその毛布を剥ごうとしたのだが、


「絶対に布団を捲るな!良いな真木!」


さては行きたくないとまた駄々をこねるつもりなのだろうと思いその毛布を無理矢理剥がした‥
(少佐の声がいつもと違うような気がしたが気のせいだろう。)

そこまでは良かったのだが。

「しょ‥少佐‥ですよね…?」


目の前にいたのは黒髪のおかっぱ頭の少年だったのだ。
自分は疲れているのだろうかとふぅ、と溜め息を吐いて頭に手をやる。
しかしその目の前の少年は何故布団を捲ったと言わんばかりに鋭い目つきで此方を睨んだ。
それから少しして溜め息を吐くと漸く口を開いた。


「真木、君の言う通り…僕だ。」

「し、しかし何故急にそのような姿に…?まさかご自身に催眠能力を?」

「そんな事僕がするわけがないだろう!!」


過去に皆本の一件があった為内心肯定は出来ないが、取り敢えず今否定すれば間違いなくただでさえ多い仕事の量が増えるに違いない為敢えてまぁそうですねと答える。


「では何故…?」

「それが分かったら苦労はしない。朝起きたらこの姿なんだ。困ったものだよ。元に戻る事も出来ないみたいだしね。」


これでも色々試してたんだぜ、とやや疲れ気味にそう答えた少佐。


「…取り敢えず、今日の仕事は代わりにやっておきますから、今日は部屋で大人しくしていて下さい。良いですね?」

「えー、詰まらないじゃないか。」


頬を膨らませながら不満げにそう言う兵部はその外見――(10歳くらいだろうか)にぴったりだった。
この人は、と呆れる。


「バレても良いんですね。この事が。」


そう言うとうっと息を詰まらせる少佐。
きっと彼の頭の中には真っ先に大鎌の姿が思い浮かんだ事だろう。


「それが嫌なら大人しくしている事です。それでは私はこれで。」


そう言ってその場から離れた真木だが、正直あの年寄りが1日中じっとしているとは考えづらい。
これは仕事を早めに終えて即行帰宅せねばならないな、と一人頭を抱えた真木であった。






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