shortDream2

□我が儘ですか
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未来を変えたい。
そう思う事は我が儘なのですか。
我が儘なんですか。我が儘ですか。

例え我が儘なのだとしても、私は未来を変えたい。そう思う。
その未来が望んでいるものとは違うのであれば、誰だってそう思うに違いないだろう。
少なくとも、私はその一人なのだ。

こんな未来見たくなかった。
けど、見れて良かった。

見れなければ私はこの気持ちを得る事はなかったのだから。

彼を守りたい。強く、そう思う。


「何を考えているか知らないが、あまり無茶はしないでくれよ。僕の姫。」


そう言って私の頭を優しく撫でてくれる彼。
でもそれは無理な話だ。
無茶でもしなければ‥いや、無茶をしても未来を変える事は出来ないだろう。
変えたい気持ちは山々なのだが、それはとても難しい事なのだ。
彼がどれだけ頑張っても、少ししか変わらない未来。
その未来を私が変える事はほぼ不可能、と言って良いだろう。
けれど私はその少しの可能性に賭けたい。


「善処するよ、兵部少佐。」


そう返すと何故、とでも言いたげな顔で此方を見てくる彼。

「私は未来を知っているから。」

「女王達の事かい?」

「ううん。」


その先を言おうとしない私に先を言えと言わんばかりに彼は目を鋭くした。


「‥君は未来を変えたい、と思っているんだろう。けどそれはあまりにも無謀だ。」

「知ってる。けどどうしても変えないといけない。」

「何が君をそこまでさせるんだい?」


少し寂しげな表情でそう問い掛けてくる彼に、私は秘密、と言った。


「…あまり無茶をするようであれば僕は怒るよ?君を傷つけたくないんだ、楓…。」

「ごめんね。」


彼の顔を見上げて無理矢理笑顔をつくる。

自分は、未来を変える為に己の命を犠牲にしようとしているのだ。
そんな事を言えばこの目の前にいる男は何をしだすか分からない。


「…お願いだからそんな顔で謝らないでくれ、不安になる…。」


珍しくくしゃっと顔を歪めてそう言う彼。
私はそっと彼を抱きしめた。

大丈夫。貴方を絶対に守るから。何があっても。
この、命と引き換えにしてでも。


「未来を変えたいと思う事は我が儘ですか、?それだけで罪になるのでしょうか?」


罪になるのだとしても、変えたい。
その代償として命を捧げようではないか。
だから彼を、殺さないで下さい。未来よ。




Fin.
 

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