shortDream2

□君と僕
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少し調べてやろう。


それが初めの目的だった。
その為に僕は此処へ来たのだから。
その為に、催眠能力まで使って接触をしようとしたのだ。

ほんの、1,2日だけで事は済む筈だったのだ。


なのに。




「君は何故、そうも反抗的な態度をとるんだい…?」


目を細めて己が初めて此処へ来た時の事を思い出す。
そもそも、此処へ来ようと思った理由は、確か、女王達の側に大抵いたからだ。
皆本のように彼女達の主任、というわけではないだろう。
それにそれだけの理由であれば自分が興味を示すわけがなかった。
何故調べてやろうと思ったのか、というと、はっきりとは述べる事が出来ないが、彼女には"何かある"のだ。
皆本と同様普通人だろうとその確証を得る為に透視能力で探ろうとしたのだが、全くと言って良いほど分からなかった。
そうとなれば彼女は普通人ではない。
かなり高レベルの超能力者だろう。

そこで彼女の事を調べ始めた。


名を雨音楓。
歳は17歳で、高校2年生。
梅枝ナオミとは別の高校に通っているらしかった。
女王達と行動を共にしていた、という事からもしかしたらとは思ったが、やはりB.A.B.E.L.関連の人間らしい。
出来れば勧誘したかったのだが‥まぁそれは今は置いておくとしよう。

そう、楓に関しての事はここまでしか分かっていない。
十分ではないか、と思われるかもしれないが、高レベルエスパーである彼女をこの僕が野放しにしておくわけがない。
つまりこの情報だけでは不十分だ。

なので彼女の高校へ転校生として通う――と言っても初めは本当に調べるだけだった為そこまで長居するつもりはなかった――事にしたのだ。



初めは、なのだ。


潜入した日の事を思い出すと、自分で自分に呆れ溜め息が洩れる。
あの時自分はどうかしていた。否、今もなのだろうか。
何故あそこまでムキになっていたのだろうか。





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