shortDream2

□バレンタイン
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前はずっと思ってた。
バレンタインなんてくだらない、と。
小説が好きだった私は今までいくつもの小説を読んできた。
その中に勿論その本題であるバレンタイン関連の事もいくつかあるわけで。
それらを読む度、何故そんなにドキドキしながらチョコを作るのか?という疑問を抱いていた。
チョコなんてその辺に売っているものを適当に買って渡せば良いじゃないか、とまでは流石に思わないが。
それでも不思議だった。
そこまで気持ちを込める必要性が感じられなかったのだ。


けれど今となっては。
前言撤回だな、と苦笑しながら思う。
想いを寄せる相手が出来てしまった今、とてもではないが今のような事は考えられない。

確かに緊張する。

何せチョコ作りは初めてなのだから。
きっとその事を皆に話せば相当驚かれるだろう。
今までバレンタインというイベントに参加らしき参加をした事がないようなものなのだから。
自分で作る事があまり好きではないのだ。
どちらかと言えば貰って食べる派なのだから。
嗚呼、男性に生まれてこれば良かった、
なんて阿呆らしい事を考える始末。

でもまぁ今は作る側なのだ。
いつもお世話になっている人に、今年はきちんと作った物を渡そう。
勿論嫌々ではない。寧ろ楽しい、と思っている自分がいる。
作る事は嫌いなのだが、楽しいのだ。
何故かと問われれば分からないと答えるだろう。
本当に自分でも分からないのだから。
この胸のドキドキわくわくは一体どこから湧いてくるのやら、と思いながら完成したチョコ達を一つ一つ丁寧に包装していく。

実のところ、私は包装の作業も好きではなかった。
けれどまぁ一年に一回だけの行事なわけだし、そう頻繁にやるわけではないので今日ぐらい良いかな、という気分になれる。
これが毎日あれば音を上げる事だろう。


包装し終えたチョコ達を順に見ていく。
一応不味くはない・・はずだ。自分の味覚が鈍ってさえいなければ。

明日は配るのが大変だなぁと苦笑しながら私はチョコ達を冷蔵庫に入れると自分の部屋に入るとベッドにダイブする。
深夜だった為すぐに眠りにつく事が出来た。





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