longDream *桜が咲く季節に*
□第2話 世界会議場
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一方世界会議場では。
「むぐっ!もっごっごごっもごごんっ!」
※よしっ!これから世界会議をはじめるぞっ!
「おいアルフレッド!何言ってるか聞こえねぇぞっ!前にも言っただろ!」
アーサーがアルフレッドに言った。
アルフレッドはハンバーガーを飲み込んでから言った。
「あ〜、そんな事も言ってたっけ?まぁ細かい事は気にしないほうが良いんだぞ?そんな細かい事ばっか気にしてると年寄りになるんだぞ!」
「なっ、ばっ、お前は少し気にしろよなっ!!」
「気にしないぞーっ!なんたって俺はHEROだからなっ!」
アルフレッドはキラーンッと効果音をつけながら言った。
「何処がだよこのメタボ野郎っ!まずメタボなHEROとかどんだけ格好悪いんだよ。」
アーサーはにっとしながら言う。その言葉にアルフレッドはうっと言葉をつまらせる。
「それにお前はいつも・・・」
アーサーが何か言おうとした時、天井にダークホール的な何かが出てきた。
「っおっおい、あれは何だ?!?!」
と国達は騒ぎだす。
その中、アルフレッドは、
「何だいあれ!かっこいいじゃないかっ!!」
と、一人興奮していた。
そのとき、そのダークホール的な何かの中から何か出てきた。
「うああああああっ?!?!?!」
どさっと軽い音を立てて落ちたそれ。
国全員がその落ちてきたものを見る。
「いったたたた…、こ‥此処は…?」
落ちてきたものはなんと少女であった。
国達はボソボソと何か話しはじめた。
その中の一人、ルートヴィッヒがその少女に近寄り言った。
「あー…、どうしてあんな所から来たんだ‥‥?」
よくあのルートヴィッヒが怒鳴らなかったものだ、と国々は思ったが、
どこか幼い顔の少女に向かって怒鳴る程酷い奴ではないかと納得するようにその様子を見守っていた。
その少女はルートヴィッヒの姿を見て目を丸くした。
「‥‥ぇ…あ。えと‥分からないんです、」
「…分からない…?」
「は‥‥はい。気がついたら‥此処にいたんです、」
「そんな事があるわけ‥‥」
無い、とルートヴィッヒが言おうとしたその時、誰かが少女の前に来て言った。
「も…もしかして…トリップですか‥‥?」
「…あ‥‥そう…だと思います、」
少女は答えた。
その言葉に国達が騒ぎ出した。
「マジかっ?!あのトリップ?!」
「あんな可愛い子が来てくれるなんてっ!」
あまりにも騒がしかったからか、ルートヴィッヒが言った。
「貴様等ぁああっ!黙らんかぁあっ!!」
その声に国達は静かになった。
「はぁ…。あー‥まず、名前を教えてくれないか?」
「はい。私の名前は空川楓です、」
「さっき、何故此処に来たか分からないと言ったが、本当に分からないのか‥?」
「えっと…。」
楓は迷った。
本当の事を言うべきか。
嘘をつくのは好きではないのできちんと言う事にした。
言い終わると、さっきのトリップではと聞いてきた人が言った。
「それはもう完璧なるトリップですねっ!!あ、失礼致しました、私は本田菊と申します。」
微笑みながらその人が言った。
「あー‥、俺はルートヴィッヒだ。」
その2人をはじめとして、どんどんと国々が自己紹介をはじめた。
それにしても、とふと不安に思っていた事をぽつり、と口にした。
「あの、皆さん、こんな得体の知れない奴の事を信じてくれるんですね‥?」
トリップをしたのなら、と疑われる事を覚悟していたのだが、少し拍子抜けしていた。
けれどもしかしたら本当は疑われているのでは、とおずおずと尋ねた。
すれば、ルートヴィッヒは頬を掻きながら答えた。
「そんな必死な表情なんだ。本当だという事ぐらい伝わってくる。」
「そうですよ。それにトリップでないというなら、あの丸くて黒い穴の正体について説明がつきませんしね。」
苦笑しながらその穴を指さした本田、そしてルートヴィッヒ。
他の国々達も同意するようにうんうんと頷いていた。
その事に私はなんだかとても嬉しくて、とてもほっとした。
やっぱりヘタリアの世界の人達は優しいなぁ。
そう感動していると、ふと本田さんがあの、と控え目に声を掛けてきた。
「空川さん、帰り方はご存知ですか‥?」
「‥‥分かりません…。」
丁度その言葉を言い終えた時、ダークホール的な何かが消えていった。
「Σあ。」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「あれにもう一度入れば帰れるのでは‥と思ったのですが‥‥この方法はもう無理のようですね…、」
「‥でっでも!折角来たから…この世界で少し遊んで行きたい‥です…。良いでしょうか…?」
いきなり現れてなんて図々しい奴なんだ、と内心思いつつも、ぼそぼそと本音を口にした。
だって、折角大好きなヘタリアの世界にトリップしてきたんだよ?
‥‥堪能、したいじゃないか。
「…本人がそう仰るなら構いませんよ。皆さんも構いませんよね、?」
と、本田が尋ねると、皆頷いた。
「では決まりですね。帰る方法も考えつつ、この世界を楽しんで下さいな。」
「はい!*」
本当に、優しくてあったかい世界だな。
もう既にトリップしてきて良かった、って思えるなんてなぁ。
そう一人微笑み、これからの事を思い浮かべ心を躍らせたのだった。
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