頂いた文
□秘密を知ってしまいました
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私は聞いてしまった。別に聞こうと思っていたわけじゃない。聞こえて来てしまったのだ。
いつもの調子の良い明るい彼の声では無く…どこか冷たい、彼の声を。
そしてその時私は確信した。
彼は、本当は――…
「あかねさーん、任務行くっすよー?」
扉越しに聞こえて来た入っていいっすか?という声にどうぞ、と返事をするとなまえはゆっくりと扉を開いた。
「今日はトビ先輩とだけですか?」
「そうっすよ、デイダラ先輩は今日はサソリ先輩のお墓参りらしいっす」
いつもの声、いつもの顔…というか仮面。なんら変わりはない、トビ先輩。
でもこの疑問、晴らさなきゃ気が済まない。
「トビ先輩さ…私に、私たち暁に何か隠し事してませんか?」
「…隠し事?何訳わかんないことを急に…」
「先輩の、正体ですよ」
「……………!」
表情は分からないが、一瞬だけ先輩が息をのんだのが分かった。どうやら、やっぱり間違い無いみたいだ。
「あなたは隠していたつもりみたいですが…私には通用しませんよ、微妙な声の違いなんてすぐに分かります」
「…仕方ないな、知られてしまった以上なまえ…お前は殺さなければならない」
トビ先輩の声色が、昨日聞いた冷たいものに変わった。
殺す、という言葉に今度は私が息をのんだ。
「こ…殺す!?そんなに隠さなきゃいけない事なんですか!?」
「当たり前だ、隠さねばならない事だ。このオレが…」
「双子だって事をですか!?」
「……………え」
「私聞いちゃいました、昨日任務報告をしにリーダーのところへ向かったら…」
"…今日は随分と疲れたようだな"
"デイダラとなまえの暁最年少組だぞオレが相手してるのは…疲れるに決まって…いたたたた小南痛いマジで痛い!!"
"(あ…あの小南さんにマッサージさせてる…!?)"
「だから確信したんです、あれはトビ先輩の…双子のお兄さんなんだって!!そして今のあなたも、トビ先輩のお兄さんでしょ!?」
「……ぷっ、ふはは、アハハハハ!!」
「…な…なにが可笑しいんですか!?」
「いや…見事だな小娘…そうだ、オレはトビの双子の兄だ」
「やっぱり…でもなんでリーダーや小南さんは気付いて無いんですか?」
「……ああ…小南はともかく、あのピアスはバカだからな」
「リ…リーダーをピアス呼ばわり…ますますすごいですねお兄さん!!」
「…………………」
…でも、なんでお二人とも仮面なんか付けてるんだろう?
「トビ先輩みたいにお兄さんも外さないんですか?そのお面…」
「…知りたいか?その理由」
「はい、とっても」
「それは…」
顎に手を当て、何か考えている様子のお兄さん。次に出た言葉は耳を疑いたくなるような言葉だった。
「……あかねさんが、僕を好きにならないように」
「………は?」
今の声は間違いなくお兄さんの声だった。しかし口調はトビ先輩。もしかしたらお兄さんがトビ先輩の真似をしているのかもしれない。
いや、今までトビ先輩がお兄さんの真似をしていた?
「今のあなたはトビ先輩?…それともお兄さん?」
「さあ、どっちだろうな」
口調はお兄さん、でも声はトビ先輩。訳が分からなくて混乱する私を、彼はからかうように笑っていた。
「あかねさんが僕の素顔を見たら、間違いなく惚れちゃいますね…その感じじゃ」
「なっ、自惚れないでくださいよ先輩…いやお兄さん!!」
「まあいつかは教えてやる、お前にはな」
「え…本当ですか?」
「ああ、いつか…な」
彼が仮面の中で僅かに笑っているのが分かった。
いつもと違うその声に、不覚にも少しだけ心臓が跳ねる。
「あれ、あかねさんもしかしてもう惚れちゃった?僕に」
「な、だから自惚れないでくださいってば!」
「はいはい、任務行きますよ」
トビ先輩が私の右手首を引っ張って行く。いつもと変わらない先輩。でももしかしたら違う人。そんなシチュエーションに、ドキドキする自分がいた。
この鼓動は、決してトビ先輩に対してなんかじゃない。
…多分。
「あかね」
ふいに"お兄さん"に呼ばれ、顔を上げた。
「トビとオレ、どっちの方が良い?」
「…どっちも…」
「どっちも?」
「どっちも…嫌いじゃないですけど」
「…なんだ、そっちか」
「まあ…声的にはお兄さんの方が好きですね、私は」
「………………」
再び彼は黙り、しかし手は尚も引っ張られたまま。
「じゃあ…この声のままでいるか、今日は」
「…今日は?それってどういう…」
「あかねさん、僕の"お兄さん"のことは皆さんには内緒だからね」
「え……あ、はい」
「…ふふ、いい子いい子」
「…………っ…」
そんなんじゃ、無い
…多分。
秘密を知ってしまいました
(いやあアホでよかった)
(お兄さんイケメンボイス…)
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うわあああああん大好きなサイト様の23000で頂いちゃいましたあああ!
なんだよこいつううただのイケメンじゃねえか!すずきのハートかっさらってどーするつもりなんだよおおお!!
詩歌様、ほんとに有難うございました!こんなチラリズム、萌ずにいられない…!!