乙ゲー

□1:せーぶでーたをつくりますか?
3ページ/3ページ


勿論2人は何言ってんだこのガキ、みたいな目で見てきた。

ううん、めげない。
そんな目で見られたって怖くないもん、だって第2ラウンドだし、えへへ。

「おともします!」

「2回言いましたよこの子」

「行くぞ」

うわ、ひどい。

いたいけな女の子におともしますと言われてスルーしますか。なんという非道。それでこそ暁。


去ろうとする2人にとてとてと短い足でついていき私は更に言う。


「えと、そのつよさにほれました!」
「わたしいくとこないんです!」
「気がついたらここにいて」
「あ、そんなことはどうでも良くって」
「おねがいします連れてってください!」


「…って言ってますが」

「ほっとけ」


うう、さすがに中々了承をくれない。
でも、絶対この人たちについて行く!幸せな夢にしたいもん。


「ううう、む、むししないで下さい」


必死に2人についていくが彼らは私に構わず進んでいく。
鬼鮫さんはあの凶悪なお顔で面白そうに笑っているがイタチさんは無表情。こわいね、うん。

でもそれでもしつこくついて行けば、ようやくイタチさんは止まってくれた。

やっと止まってくれた!と喜ぶ私にイタチさんはなんとも鋭い視線を突き刺してくれるじゃないか。


「…何故ついてくる」

「え、…わたしいくとこないんです」
「迷惑だ」


ぐさっ。い、いたいぞ。つんつんが恐ろしい。
遠慮なく言われた言葉に若干へこみながらも、まだまだぁと口を開く。


「わたしめいわくかけないようにします、だから」

「先ほど見たはずだ。殺されたいのか?」

ぐぐぐ、これが殺気というやうだろうか。

ぴりぴりしていてつらいというかなんというか。


だけど私は1度死んだ身。


そんなこと言われたって、怖くないやい!と投げやりな気分でイタチさんを睨みつける。
いやほんとは痛いのとか嫌だし夢の中で死ぬのも嫌だけど、結構勢いで。

するとイタチさんは何やらじっと私を見てきて、次に鬼鮫さんにチラリと視線を向けた。


「もしかして連れ帰る気ですか?」


鬼鮫さんの蔑視するような笑み。しかし声音は愉快そうだ。


「いや」

「じゃあどうするんです」

「この子供、チャクラが異質だ」


ん?チャクラがなに?
イタチさんの言葉を期待しながら待っていた私に対しそう言ったのだが言葉の意味がよく分からず首を傾げる。
鬼鮫さんもそうらしく「どういうことです?」と私同様疑問詞を浮かべた。


「いや、そもそもチャクラではないかもしれない。流れも色も形も見たことがないものだ」

「嫌ですねェ、私には貴方の見ている物は見えませんから。簡潔にまとめて頂きたい」

「…」


鬼鮫さんの言葉に一瞬迷うような間は空いたものの、すぐにイタチさんは私を見た。


「住む世が違う」

「…それはそれは」


「…え?え?」


「なら連れ帰っても問題はないんじゃないんですか?」

「鬼鮫」

「あの人は珍しい物好きですから」


くつくつと喉を鳴らす鬼鮫に機嫌悪そうな表情を浮かべるイタチさん。
それを見てなおさら笑みを深め「お好きにどうぞ」と意味深な言い方をする鬼鮫さん。


「…俺は連れ帰る気など」

「私は別にどちらでも構いませんが」

「…」


鬼鮫さんはイタチさんの心情など見切っているかのようにまあるい目を少し細ませる。
からかっているのか本気なのか、はらはらどきどきする展開に心配そうに2人を見ていると。

やがてイタチさんはため息を一つこぼし諦めの視線を私に送った。


「…そういうことだ」

「どういうことですか?」

「…お前を連れていく」



…え、ほんとに?



イタチさんの嬉しすぎる言葉を嘘かと疑ったが、すぐにひょいとつままれ歩き始めたもんで本当だと知る。

ぶわああと心からなんとも言えぬ喜びが沸き上がり先程の冷たい言葉など忘れ、私はイタチさんに抱きついていた。


「イタチさんありがとう!」

「抱きつくな」


えへへ、もうイタチさん大好きだ。


やったよ神様、なんかよく分からないけど、私イタチさん達と一緒にいれるみたいだ!

Happydream万歳!わっほい!
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ