乙ゲー

□1:せーぶでーたをつくりますか?
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男たちが真剣な声音でこそこそ話し合いぴりぴりとした雰囲気を出し始めた。
その雰囲気に戸惑いつつも男たちが下の方を見ているため、私も下を見れば。

「…あ、ひとだ」

「黙れっつってんだろ」

「ごめんなさい」

人がいる。

木の高さが中々あるためよくは見えないが、黒っぽい服装をした人が2人いるようだ。

なんなんだろう、なんでこの人たちはこそこそとあの人たちを見ているんだろう。


「この近辺にいるっつー話は聞いてたが、本当にいるとは」

「どうする」

「やるに決まってんだろ」


まぁこの人たちが何をしようか別に私には関係ないんだけどさ、気まずい。
喋っちゃだめだよみたいな雰囲気あるしいつまでここにいるんだろうと、思っていたら。


男が木を物凄いスピードで降り始めた。


ジェットコースターのような急降下に悲鳴をあげる暇もなく、顔面に受ける風があああ。


「ぬ、うう、か、ぜがあ」

「あ、忘れてた」


風がびゅんびゅん、もうやばい。

だけど男が私に気がついたようで(忘れてたんだ)途中草むらにぽい、と落とした。

勿論かたまる。


「ええっ」


こんなとこでぽいします?!
驚く私などもう眼中にないらしく、男は下にいた2人に刀を構え斬りかかっていた。
なにしてんの?驚いたけど私自身もピンチな状態。言葉なく草むらへと落ちていった。

葉っぱが全身をがさがさと撫で、枝がぐさぐさと肌を刺す。
痛い、とは思ったものの思ったより強い衝撃はこずどうやら草が私の体を救ってくれたようだ。
ありがとう、草。死ね、投げたあいつ。


「うっぷ」

草から這い出でる。
もう急に投げないで欲しいわ切実に。

一体なにがどうしてどうなったんだ、と事態を飲み込めないまま立ち上がれば。


私の目におかしなものがうつっていた。


「バレバレなんですよ」


さっきの男、2人。
地に倒れている。いつの間に。ていうか、あれは血じゃないか。

じわじわと広がっていく2つの死体に驚きをかくせないでいると、元々下にいた男2人がこちらを向いた。

その顔を見て、私の中に衝撃が走る。


(動物コンビ!)


そう、振り向いた2人はうちはイタチと干柿鬼鮫だった。
なんでナルトのキャラが、え、なにこの俺得な夢。じゅるりとよだれが出そう。


「子供、ですねェ」


鬼鮫さんがのんびりとした声音で言う。
しかしイタチさんは何も言わない。ただ一瞥しただけ。

おいおいおい、これは一体どういうことなんだ。
こんな素敵な夢、あっていいのか。


ごくり、と唾を飲み込む。


もしかしてこれは神様が与えてくれた最期のプレゼントなんじゃないか?
出世街道から道を外し死んだ私に対し、神様がくれたものじゃないか?

それほどまでに私は感激していた。


だから、その時はちょっと感覚がおかしかったんだ。
殺気を向けられているのに気にせずに近づいて行っただなんて。


「あ、あの!」


私は声を張り上げた。


「おともします!」


神様が与えてくれた最高の夢だものね、好き勝手やったる。
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