ギラリン長編小説〈青年編〉

□落下
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『―――』


「えっ? 」

まただ、


誰かが私を呼んだような
…不思議な、感覚


「どうしたのゼルダ?」

リンクに訪ねられ、
ハッとして口を開いた

「ううん、なんでもないの…
…ねぇ、リンク…」

「ん?」

前を飛んでいたリンクが
少しだけ速度を落として
振り返った…

「リンクは、『大地』って
本当にあると思う?」

私の質問に驚いたようだったけれど、
少しだけ考える素振りを
見せた後にリンクは答えてくれた。

「…わからない…けど、
有ると思う。」


「………私も、…私ね、…有ると思うの」
見上げると、リンクは黙ったまま
雲海を眺めていた。

どこまでも続く雲海を眺める彼の瞳が
どこか、寂しげで…なんとなく、
目をそらしてしまう


「……夢を、みたの」

広くて広くてとてもきれいな

あの場所でスカイロフトの
みんなが幸せに暮らしている夢…

「楽しくて、綺麗な夢…」

でも、何故だろう…


そこに、



リンクは居ない…

その事に気がついて

必死にリンクを探すのだけれど

何処にも姿が見えなくて、




「ねぇリンクは…もしも大地が
あったら、…そこに行けたら…」



どうするの?…



たった一言なのに、
訪ねるのがこんなに怖い。





「ゼルダ、どうかした?」



「あのね…リンク…」


ゼルダが意を決して
リンクを見た時だった、



「ッ!!?!」
突然閃光が走り
今まで優しげに吹いていた風が
一変して、強風になり
ロフトバードたちも慌てて声をあげた

「何、これ…?!」


閃光が走った方向に振り返ると
見たこともないくらい大きな
黒い竜巻が渦を巻いていた。

「ゼルダ!スカイロフトに!!」

「────きゃああああ!!!!」




強風の中、必死にスカイロフトまで行こうとするが、ゼルダがロフトバードから引き剥がされてしまった

「ゼルダ!!!」


リンクはゼルダを助けようと
黒い竜巻にロフトバードと
突進したが、あまりに強い風に
リンクもまた、ロフトバードから引き離されてしまった


「っ!!とどけぇ!!!」

黒い竜巻の中、必死に気絶してしまっているゼルダへと



手を伸ばす…が、


リンクの手は届くことは無く、

「ゼル……ダ……」



意識を失った

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