ギラリン長編小説〈少年編〉

□雨
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洞窟で寝泊まりを始めて、
3日目。さらに

空から大地に落ちてきて
5日。


イアンは走り回れる位に
回復していた。実のところはまだ
走り回れば時折ズキズキと、
怪我が痛むが…

とりあえず普通に
歩けるようにはなった。



今日は天候が悪く、雨が降っていたために、イアンは降り続ける雨を洞窟の入り口で、面白そうに観察していた。
はるか上空に浮かぶスカイロフトでは
雨が降ることは無いので、
珍しかったのだ。暫くそうしていると、
突然、聞き慣れた金属質な音が聞こえる。

「!」

イアンが嬉々として、
音がした方向を見ると

ギラヒムが洞窟の外に立っていた。

「やあ、…イアン君。」

「ギラヒム───……?」
雨に濡れるのも構わずに
近寄ろうとして、イアンは
ふと足をとめた。


気のせいか、
少し具合が悪いみたいだ…

いつものように笑みを
うかべているが、何処か、おかしい

何時もは新品のように真っ白な服も、
所々汚れている。


嫌な、予感がした。

「何か、あったの?」

イアンの問いかけに口を開きかけて、
ギラヒムは、突然、倒れ込んだ。
パシャン、と泥水が跳ねる。
「ギラヒム!!」

急いで駆け寄ると、
ギラヒムは、意識を混沌とさせ、
苦しそうに表情をゆがめていた。

よく見ると、
肩に、白い弓が深々と
突き刺さっている。

イアンは白く光るそれがギラヒムを
苦しめているのだと直感して、
恐る恐る弓矢に触れるが、
あまりの熱さに驚いて手を放した。
「イっ…!…何、これ…」

手を見ると、焼けどは
していなかったが、じんじんと
酷い痛みを感じる


「無闇に…触るんじゃ、ねぇ」
イアンの声に意識を取り戻した
らしい。ギラヒムは無理やり
おきあがると、おぼつかない足取りで
洞窟へ向かった。その後をイアンがあわてておいかける。

「ギラヒム!無理して
動いちゃだめだよ!!
その弓矢…どうにかしてぬかなくちゃ、」

壁にもたれたギラヒムの肩に突き刺さっている弓矢に触れようと、手をのばすが、ギラヒムに、弾かれる。

「!」

「触るな!これは…ただの矢じゃねえ。……俺のことは、…放っておけ!
、…っう……」
ギラヒムは
イアンを遠ざけようとしたが。
再び痛みに襲われ顔を歪めた。

「ギラヒム…でも!」
心配そうにするイアンに、

ギラヒムは苦笑した。
「…人のくせに…お前は…変な、
ガキだ……」

呟いたと同時にギラヒムはぐったりとして、意識を失った。

「…っ!ギラヒム!!
…ど、どうしよう!…」

その時、
光る矢が一層力を
増したように輝いた。

…これ、をとらなくちゃ、

そう思ったイアンは

ゴクリと、唾を飲み込んだ。

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