ギラリン長編小説〈少年編〉

□交換条件
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「ほ、本当に!?」
不安にかられていたときとは
うってかわってキラキラと
青い両目が輝いている。

「勿論だよ。私の大切な人を助ける手伝いをしてくれるなら私が空に帰るのを手伝ってあげよう。」

いい話しだろ?、と腰に
片手を当てて、返答を待つギラヒムに
イアンは迷うことなく頷いた。
「わかった。…僕、手伝うよ!」

…単純なガキだな
扱いやすくてたすかる。
ギラヒムはニヤリと笑った。
「…そうと決まったらその怪我を
完全に直さなくてはね。」

「え?あ、うん。全然痛く
なかったから、すっかり忘れてた、」
そう言ってからイアンは恐る恐る
服の上から怪我に触れる…

「手当てした時に見たけれど
結構深い傷だ。けど、この私が手当てしたんだ。激しく動かなければ 5日程でほぼ治るよ。…そうだな、それより…先に説明だけしておこう」

近場にあった。岩に腰掛ける。

「単刀直入に言うと、君には結界を壊してほしいんだ」

暫く間があって、
んん?とイアンは眉を寄せた。

「…魔力ではこわせないの?」

その問いにギラヒムはため息を吐いた

「頭が良いね。簡単なものならそう、
魔力や、場合によっては力ずくで
壊せるんだけど、強力なものなら
話は別でね、内からでないとこわせないんだ。…といっても、私はちょっとした事情で中に入れない」
そこで君の力を借りたいと、
不適な笑みを浮かべてイアンを見た。

「私と違って君なら、結界の中に
入ることができる。」

「!」


「それで…中に入ったら、
結界を少し切りつけてほしいんだ。
…これでね。」金属質な音と共に
ギラヒムの手に黒いナイフが一本、現れる。

イアンはナイフをまじまじと、見つめてからギラヒムに視線をもどした。


「そのあとは、どうしたらいいの?」


「ああ、君は何もしなくていいよ?
私に任せてくれればいい。まあ、それ以前にイアン君は怪我を直すのに集中しなければいけないね。」

そう言うとギラヒムは立ち上がった。
イアンもそれに続いて立ち上がる。

「さて、この先に安全な洞窟がある。
君が寝ている間に見つけたものだけど、まさか文句はないよね?」

イアンが大きく頷くのを確認すると

洞窟へと、足を進めた。

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