ギラリン長編小説〈少年編〉

□大地
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目を覚ますと、薄暗い
神殿のような場所にねかされていた。

「此所、は…?」

上半身を起こしてみると、赤い布が
ずるりと、落ちた。

「!…」

誰かが、掛けてくれたのだろうか?
思えば怪我の痛みも、うすれている。
人の姿を探すが、今はどこかに
でかけているようだ。
誰も見当たらない。



「お礼…言わなきゃ…」

そう言ってふと、気がついた
暗さに目が慣れてきたのかもしれない

神殿はほぼ半壊していた。
何かが暴れ、壊したような
壊れ方をしている。
さらに部屋の中央に
台座のようなものがある。

何だろう、と立ち上がった瞬間

高い金属質な音が部屋に響いた。

「?」
「おや?目がさめたようだね?」

突然後ろからした声にイアンは
驚いて振り返る。

暗いのに、やけにはっきりと
姿を捕らえる事ができる。

助けてくれた人だろうか、?

そうにちがいない、とイアンは
おずおずと口を開いた


「…あの、…えっと…ありがとう。
助けて、くれて。」

イアンが礼をいうと、
片手に持っていた剣をしまいながら
男は面白そうに笑った。


「うん、礼儀は大事だよね。
良かったよ君が礼儀正しい人間で、
余計な力を使わなくてすんだ。」

「??」

イアンは意味が解らず、
首をかしげたが男は肩をすくめた。

「いや、こちらの話だよ。
そういえば君、名前は?」

「あ、僕…イアン……あなたは?」
「ん?…ああ、私はギラヒム。…ところでイアン君、少し場所を変えよう
此所は安全だがあまり
長居したい場所ではないのでね。」

イアンの返答を待たずにギラヒムは
パチン、と指を鳴らした

金属質な音と同時に
景色が変わり、見渡しの良い野原に
なった。

「!!?」

驚いて辺りを見回すイアンを
面白そうに観察しながら
ギラヒムが笑う
「安心するといい。場所を変えただけだよ。」
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