ギラリン長編小説〈少年編〉

□スカイロフト
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「ぐ、ぅう…」


「ギラヒム!」
イアンは直ぐに倒れ混んだまま、
呻き声を上げるギラヒムに手を
のばそうとしたが、

何かに手を弾かれ
ギラヒムに近づけなくなってしまった。


「…結…界?!」

目を凝らすと、ギラヒムの周囲を、
囲むように結界のようなものが
張られていた。

「…そうだ、ナイフ…!」

先程、神殿に張られていた結界を
壊したものだ…これなら、


イアンは思いきり
ナイフを振りかざした

しかし、


「イアン…」


聞き覚えのある

声に呼ばれて思わず、

手を止めた。



振り返ると

真っ白な衣服を纏った

女神、ハイリアが、
此方を見つめていた

「女神、様?何で此処に……っ!」

イアンはハッとしてハイリアに

駆け寄った、
「女神様!ギラヒムが、大変なんだ
怪我を──」

いいかけたが、
ふと

女神の持つ真っ白な弓矢に

気がついて、後ずさった

───あ…れ、?




あの、弓矢、

あれは、ギラヒムに
突き刺さったものと同…じ、


何、で?


どうして女神様が?




「…め。女神、…様?」

狼狽えるイアンに、
悲しそうな眼差しをしながら、
ハイリアは弓を構えた。

「離れなさい…」

恐らく、
再びギラヒムへ、矢を放つつもりだ。
今の状態で、そんなことをされては

きっとひとたまりもない、

そう思ったイアンは
必死で立ちはだかった。
「…何で、こんなこと、」

するとハイリアは、
弓矢を下ろし、優しく
イアンの頬に手をふれた


「純粋な、魂を持つがゆえに
貴方は、騙されてしまうのです…」

意味が理解出来ずに
困惑しているとハイリアは続けた。
「あの者は…永きに渡り
何千という命を奪い、
人を生き物達を苦しめた
魔剣、なのです」

だから、報いを受けなければ
ならないのだと、ハイリアは突然

片手に、持っていた
剣を振り上げた、

「!?」

青い、光が溢れ、


一瞬にして、
景色が変わる、


そこ、は

イアンにとって

見覚えのある場所だった。



「…こ、こは…スカイ……ロフト?」


動揺したものの、直ぐに
我にかえって意識を混沌
とさせているギラヒムに
駆け寄ろうとしたが、

誰かに手を捕まれた、

「…奴に近づくな、…」

イアンが振り返ると、

背の高い、顔に幾つもタトゥーを
入れている女性が
そこにいた。

たしか、

何時も女神様の、近くにいる、人…


「ギラヒムを、どうするつもりだ!」

警戒するイアンに、インパは、
嘲笑を込めた笑みを見せた


「…どうする、つもり、?……お前、
暫く魔剣と行動を共にしていた
そうだが、まさか、奴と友達にでもなったつもりか?」

イアンは、何も答えずに
インパを睨んだ

「…だとしたらお前は
とんだ大馬鹿者だな…」

…どうにかして、
ギラヒムを、助けないと。

ハイリアがゆっくりと
方膝をつくギラヒムに
近づくのが見えて
イアンは思わず声を上げた

「ッギラヒム!!!」

「ッ!」
途端に、
ガン、と激しい金属音が響く、
ハイリアの剣を、ぎりぎりで、
受け止めたのだ、




インパが眉を寄せて、
イアンを見た、

「これ以上余計な事をされては面倒だ。大人しくしていろ、」

「っ!?」
その言葉を聞いた瞬間、

急に、手足に力が入らなくなり、

イアンはその場に倒れ込んだ…

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