ギラリン長編小説〈少年編〉

□寂しさ
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イアンは、

青々とした空を見上げて、
大地に背を預けていた。

暖かい日差しに照らされて
髪が金色に染まる。


大地に落ちてきて、
もう7日、

初めて会ったときに
ギラヒムが言った通り、

イアンの怪我は完治していた。

恐らく、結界を壊すぐらいならば、
簡単にできるだろう。



ギラヒムは無言のまま、
洞窟の岩肌に背をあずけている。

もしかしたらギラヒムは
怪我が痛むのかもしれない、
まだ、魔力が乱れている、と、
そういっていたし、…

…大丈夫、だろうか、?

寝たままギラヒムに
視線を向けると、

偶然、真っ黒な瞳と、
視線が合った。


でも、恐らくそれは

偶然ではなくて
多分、ギラヒムは
先程からずっと此方を
みていたのだろう。

なんとなく、そう思った。


「……」

そのまま、
何を言うでもなくお互いに

じっと見つめ合ったが、


「ギラヒム」と、
イアンが声をかけて 沈黙を破った。

「───…どうした?」


「あの、…怪我…大丈夫?」

心配そうに、此方を見るイアンに、
苦笑して、ギラヒムは頷いた。
「このぐらいどうってことはない。」

その言葉を聞いて、
心なしか、イアンは少し安心した。

そのせいだろうか、

暖かい太陽の熱に眠気が襲って、


ゆっくりと意識が沈みかけた、



が、唐突に、


「イアン、」

そう、
名前を呼ばれた気がして、
再び瞳を開けた。


呼ばれたのは気のせいでは、
なかったらしい。
ぼやけた視界を凝らすと、

ギラヒムが、真剣な表情で
此方をみていた。

どう、したんだろう?

そう思っていると、


「……イアン、…約束する。
お前が結界を壊したら、この俺が
必ず無事に空へ帰してやる。…絶対だ。」

何か、覚悟をきめたような、
そんな表情をするギラヒムが、
らしくない気がして、

イアンは、起き上がった

「どうしたの?急に…」

しかし、ギラヒムはイアンが、
首を傾げた時には既に

何時もの不適な笑みを浮かべていた
「…?」


「…約束の、確認だよ。
色々あったから君が
忘れてないかと思ってね」

からかうように言われて
むっとしたイアンは反論しようと
口を開いたが、

それをやめた。

ふと、考えたのだ、


もし、約束を果たしたら

もう二度と、

ギラヒムにはあえないのかな?

心が締め付けられるような感覚がして、イアンは俯いた…

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