永久の幻想

□プロローグ
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とある竹林の中に鎮座する屋敷で俺は目を覚ました

「ん・・・・・」

目を開けると見覚えのない天井が視界いっぱいに広がり

「あ、起きましたか?」

聞き覚えのない少女の声

「今、師匠を呼んできますね」

し・・しょう・・・・・?

「ここは・・・・・・」

どこだろう、そう続ける前に答えがかえってくる

「永遠亭よ」

またも聞き覚えのない女性の声

声のする方向に目を向けると二人の人物がいた

一人は、青と赤の服を着た女性

もう一人は、ブレザーを着て何故かうさ耳を付けている少女

二人は俺を心配するように見ていた

「あの、貴女たちは誰ですか?」

「私はこの永遠亭で薬師をしている八意 永琳よ」

先に女性が丁寧に答え

「私は弟子の鈴仙・優曇華院・イナバです」

続いてうさ耳の少女が名乗る

「どうして俺はここへ?」

目覚めたばかりでまだ頭がぼんやりしている

「あなたは今朝、酷い重症でこの屋敷の前に倒れていたのよ」

は・・・・・・?

女性の言葉に俺は耳を疑ってしまった

ぼんやりしていた頭が急速に動き出す

少し待って欲しい

重症で倒れていた?

俺はどこでそんな傷を負った?

それに今、俺の体にそんな傷はない

屋敷の前に倒れていた?

俺の記憶には永遠亭という屋敷は存在していない

あったとしても、なぜ俺はそんな所にいた?

わからないわからないわからない

俺は・・・・どうしてここにいるんだ?

俺になにがあったんだ?

自分の記憶のはずなのに思い出せないそんなもどかしさに包まれる

だがそれ以上、思考を続けることができなかった

なぜなら

「今は体を休めることが先決よ」

思考を遮るように声がかけられたからだ

「あれこれ考えるのはそのあとでも出来るでしょ」

そう言うと彼女は優しく微笑んだ

「そう・・だな・・・・・・・」

その微笑みに不思議と安堵した俺は再び意識を手放すのであった
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