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□せいのたけ。
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金もないので、ふらふらとさまよい歩く、小春日和の長閑な午後。


万事屋には、本日も依頼無し。


掃除を手伝ってくれないなら邪魔だからと、新八に追い出されてしまったので、仕方なしの放浪である。



『ん〜〜〜…、どーすっかな〜〜〜…』



『何がですかィ?』



『うぉぉ!?沖田くん!?気配消してうしろに立つの止めてくんない!?止めてくんない!?』


突然掛けられた声に驚き振り返ると、背後にピタリと立つ沖田くんがいた。完全に気配絶ってやがった。



『またまたァ、旦那ほどの御仁が気づかないワケ無いじゃないですかィ。』


口ではそんなコトを言いながらも、顔は完全に「してやったり」の表情だ。カワイイ顔してえげつないヤツめ。



『いや、気づく気づかないじゃなくてさぁ、趣味ワルイよ〜、そ〜ゆ〜のってさ。』



『そうですかぃ?そりゃあすまなかったです。で?』



『え?』



『いや、「どーすっかな〜〜〜」って言ってたんで、何をどーすんのかなあと。』



『ああ、そのことね…』



言いながら、至近距離に立っていたため、ふと気付く。あれ?沖田くん、意外と背が高い?

思わず沖田くんの頭に手を置いて、自分と比べてみてしまった。



『…?旦那?なんですかィ?』



『いや、沖田くん、結構身長あるな〜って思ってさぁ。』



『そおですかィ?旦那と比べたら全然ですぜ。』



不思議そうな顔をして、自分の頭に手を置く沖田くん。
ああ、そっか。大きなガラス玉みたいな眼に可愛らしい顔立ち、加えて、何かと神楽とじゃれあってる(?)から、錯覚してたんだな〜。



『いや〜、神楽と同じくらいだと思って………』



あれ?これって失言?もしかして俺殺られる?殺られちゃう???
軽く俯き、不穏な気配を漂わせだした沖田くんに警戒しつつ、黙って次の動きをまってみると…






『…やっぱり、チャイナと同じ扱いですかィ………。』



小さな声でそう呟いた。
意味を計りかね、何と続けようかと躊躇していたら、ガバッと顔をあげて言った。



『でも、俺まだ18なんで、成長期真っ最中なんでさぁ!もう打ち止めの旦那と違って、まだまだ伸びますぜィ。』



若干失礼なコトを言われた気もするが、命の危機すら感じたこの際だから、聞かなかったコトにしよう。うん。



『そ、そーだね、成長期って素晴らしいね。俺もきっとすぐ抜かれちゃうな〜。あはははは〜。』



『当然でさぁ。そのときは覚悟しといてくださいよ、旦那。』



覚悟?なんの?身長抜かれたら殺る気?コイツ全然読めねぇ〜!!
もうこうなったら速やかに逃げるが勝ちだ。



『うん、じゃあそ〜ゆ〜コトで、銀さんちょっと忙しいんで行くね。』



『へぇ、それじゃあまた。』



思いのほかあっさりと向きを変え去っていってくれた。

無事、脅威が過ぎ去ったコトにホッと一息ついたあと、歩き出しながら考える。


子どもだ子どもだと思っていても、いつの間にか成長してるモンなんだな〜…


って、お母さん?俺、お母さん?つーかそれ以前に最初に会った時点で沖田くんあのサイズだったじゃん!!


え?コレって俺の気持ちの問題って言わない?


いやいやいや、ないないないないない。


そうだよ、アレだよ、神楽とカブってるから、なんかこう、お母さん的な…


ってやっぱりお母さんんんんん〜〜〜!?










………なんか、もういいやお母さんで。


もうひとつの選択肢は考えないほうがいい気がするし。うん、俺は子ども達の成長を暖かく見守る的なお母さん的な立ち位置をキープしよう。うん。



そんなコトをぐるぐる考えていたら、いつの間にか日も暮れていた。



あ〜〜〜、なにやってんの俺。


まあいいや、とりあえず、帰って夕飯の支度でもしよ。


あ、やっぱりお母さんだ………。



end。

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