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□不快指数攻略法。
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なんでだ?なんでこんなコトになっているんだ?


6月、梅雨の時期。

ジメジメとムシムシが襲ってくる今日この頃。

不快指数もガンガンに上昇中だ。


なんてったって、湿気は天パの天敵だ。

そんなコトも相俟って、ますます俺の体感不快指数が上がっている。



な〜の〜に、こんな状況なのに、だ、何故コイツは…



『なあ、沖田くんよぉ…。』


『なんですかぃ?』


『暑くねえか?』


『暑ぃですねぇ。ここにもエアコン入れたほうがよくねぇですかぃ?』


しれっとンなコト言いやがる。

そーだよ、暑ぃんだよ。


『じゃあ、くっつくなよ。なんでべったりくっついてくんの、キミ。んでうちにエアコン入れる金なんかねーんだよっ!!』



そう、沖田くんは、ソファに座ってジャンプを読んでいた俺の隣にピタリとくっついて座っている。

あまつさえ、俺の腕にしがみついている。

そんな状態で、かれこれ15分。



はじめは、とりあえず様子をみようと思って黙っていた。


しかしながら、その後なんの動きもない。


で、暑い。湿気もあるので汗も出る。

でも腕を取られているので動けねぇ。

15分経過で我慢の限界突破。


先の質問になるってぇワケだ。



そんなイライラ顔の俺を、ガラス玉のきゅるきゅるの大きな瞳でじっと見つめて沖田くんは言った。



『だって、暑ぃんです、旦那。』



なんだそりゃ。



『だったら離れりゃいいだろーがよっ!!暑ぃんだよ!!ジメってんだよ!!不快なんだよっっっ!!』



苛立ちにまかせて怒鳴ってみたが、まったく動じねぇぞコイツ…がっちりと俺の腕を捕まえたままびくともしねぇし…。



『ですがね、旦那ぁ、暑ぃんですよ。』



『だ〜〜〜か〜〜〜ら〜〜〜…』



『なにもしなくても暑ぃんです。くっついてても暑ぃけど、離れてたって暑ぃんです。』



『……………?』



言いたいコトの意図が掴めず、こちらを見つめる沖田くんを見つめ返す。



『どっちにしたって暑ぃんだし、だったらただ暑ぃより、大好きな人にくっついてて暑ぃほうがいいな〜、なんて思ったんでさぁ。』




『…………………………………』





絶句だ…。そして慌てて顔を逸らす。


じんわり汗がにじんできた…。


余計に暑くなってきた気もする…特に顔が…。



…いや〜な視線を感じて、チラッと沖田くんを見てみる。





………顔は天使なのに、悪魔の微笑みが浮かんでいた………


器用なヤツめ!!


そんな天使な悪魔は、俺と目が合うと、さらに笑みを深くして



『だ〜ん〜な。顔が赤いですぜ〜。』



なんて言いやがる。誰のせいだ、誰の!!

…でも、そんなコト言えねー。



『おめーがひっつくから暑ぃんだろーがよ!!いい加減離れろや!!』



そう言ったら、やっと俺の腕を離して立ち上がった。

まだ顔は笑ってやがる。



『それじゃあ旦那、だいぶお顔が暑ぃみたいですから、エアコンの効いたトコロで冷たいパフェでもいかがですかぃ?』



さんざん俺をからかって、たかだかパフェでご機嫌取りですかコノヤロー…


と、心ではそう言ったハズなのに、口からでた言葉は……………



『……………………もちろん、奢りだろーなぁ?』



あああ…言っちゃった。


俺のその言葉に、今度は悪魔要素が除去された顔でニコリと笑って言った。



『もちろんでさぁ。俺の不快指数は旦那のおかげでだいぶ攻略できましたので、今度は旦那の不快指数を攻略しましょう。』



『よ〜し、よく言った。存分に攻略させてもらうかんな!!』



上手く丸め込まれたカンジだが、全力でパフェ食えりゃいっかな、なんて思いながら、沖田くんを引っ張って甘味処へ向かうのだった。





end。

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