sweet story  【日常編】

□どんな人?
1ページ/2ページ

ざわつくダイニングでトレイを持って席を探す

若い兵士(と言っても、みなフランより年上だが)の隣がいくつか空いていたが、恐らくそこに自分が座ったら楽しげな会話に水を差すことになるのは目に見えている

年齢こそ若いが"幹部"という立場と、そもそも誰とでも世間話が出来る程のフランクな性格でもない。いっそこのまま部屋に持ち帰ろうかと思った時、一人黙々と食事を摂るレヴィの姿を見つけた

今日は雷撃隊と一緒ではないらしい。普段なら近付かない相手だったが、たまたまレヴィも一人だった事がなんとなく引っ掛かり向かい側の席に腰を下ろした

「ムッ。今日は一人か、珍しいな」

そんなにしょっちゅう一緒にいると思われているのか、隣にベルがいない事を言われているのは明白だった

「センパイはロン毛隊長と任務ですー。食事が不味くなるんで話し掛けないでもらえます?」

自分から同じテーブルに着いたくせに、その言い草もないものだが

「ふんっ」

レヴィはまた黙々とフォークを口に運んでいる


(今日のマッシュポテトは塩が足りないな…グレイビーソースはあんまり好きじゃないし)

フランも黙々とフォークを口に運ぶ



周囲から見たらなんとも異様な光景だろう。きっとこのテーブルに座ろうとする勇気ある者はいないと思われる

そのまま押し黙って食事を終わらせてもよかったが、なんとなくフランの方から口を開いた

「レヴィさーん。どうしてレヴィさんはボス一筋なんですかー」

その質問に驚いたのか、フランから声を掛けられた事に驚いたのかレヴィは激しく咽せて咳き込んだ

「汚いなー」

自分のトレイを高々と持ち上げてツバが飛んでくるのを避ける

「おぬし、何を急に」

「いやー、ミー自身まだボスの事、よく解ってないんで…ボスってどーゆー人ですかー?」

以前ヴァリアーに居座る理由を『怒りんぼのボスに興味がある』と公言していた。まぁ本当に興味があったのは現恋人ベルフェゴールの存在の方だったけれど



「ボスは…男の中の男だ。ボスほどの男を他に見たことがあるか?つまりボスは−−−」

レヴィの口から発せられるボスを褒め称える言葉を聞いているうち、ふと自分がベルを表現する時はどうだろうかと考えた

(えーっと。ワガママでオレ様でサディストで単純で…あれ?1つもホメてないや)

いくら普段から毒舌が常とは言え、それではあまりにもベルに失礼な気もする

(うーん…明るいよな、無駄な位に。あぁ見えて実は優しかったりもするけど…それってもしかしたらミーにだけかも。じゃあ言っても分かってもらえないか…)

レヴィはレヴィで向かいの席から、よくも尽きない程にボスを褒め称える言葉を述べていたが、もうフランの耳にはこれっぽっちも届いていない


(あー、センパイってどんな人だろ…)


かたや一人でボスへの賛辞を述べるオヤジと、かたやそれを全く聞かず考え込むカエル

やはり異様な光景だった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ