sweet story 【日常編】
□ヴァリアー大宴会
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「フランちゃん、隣いい?」
さっきまでお気に入りの部下をはべらせて飲んでいたルッスーリアがグラスを片手に声を掛けてきた
「どーぞー」
「改めて…お帰りなさい、フランちゃん」
「あ…はい」
さすがに毒を吐く気になれず大人しく応える
「本当に良かったわ、ベルにとってもフランちゃんにとっても。やっぱり二人は結ばれる運命ですものね〜♪」
「あははははー」
そう言えば以前、センパイと想いを通じ合わせた時にもそう言われたっけ
「フランちゃんが見つかるまでのベルったら、そりゃもう手が付けられなくて〜」
あ、まただ
自分が戻るまでのセンパイのこと
「そーなんですかー」
マーモンには"別料金"とか言われたけど、ルッスーリアならそんな事も言わないと思われ聞き返してみた
「うふふ、今だから話せるけどね〜−−−きゃっ!!」
センパイの事を話し始めようとしたルッスーリアの目の前に見慣れたナイフが飛んでくる
「余計なコト喋ってんじゃねーぞ、ルッス」
「あらあら恐いわ〜。じゃね、恋の悩みはアタシに相談なさいね〜♪」
(センパイってば相変わらず地獄耳なんだからー)
慣れない宴の熱気と、飲めないアルコールの香りに浮かされた身体を醒まそうと、そっと席を立ちベランダへ向かった
頬を撫でる風は春が近づいているせいかそれ程冷たくはなく、心地よい温度だった
ほけっと星空を眺めていると
「ナニしてんだ?フラン」
センパイの声がした
「空、見てましたー」
振り返りもせず答えると、背中から抱き締められた
「トイレにしては長げーし、どこ行ったかと思った」
回された腕に少し力が入る
「また消えたかと思いましたー?」
「…」
あれ?まさか図星?
「センパーイ?」
「…このまま二人でフケよーぜ」
「え?」
「戻って飲み続けてっと、いつ終わるか分かんねーし。ボスも隊長連れて帰ってヨロシクやってんだろーからさ」
「…でも」
そうと言われた訳ではないが、一応みんなが集まったのは自分が戻ったからって事もある訳で…とは言え、あの場で唯一飲まない自分もそろそろ限界ではあった
「フランと二人きりになりたい」
きゅん
そんな甘い囁きを断れるはずもなく
「…ミーもセンパイを一人占めしたいですー」
「しししっ。嬉しいコト言ってくれんじゃん」
2つの影が夜の闇に紛れて静かに消えた
(2011.3/8)