華咲く乙女の運命

□-弐-
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「もうこんな時間か…」


こう切り出してきたのは龍漸だった。

気づけばお天道様は真っ赤な顔して、西の空に傾いていた。



『ほんと…夢中で話してた。』

「そんな…まだ話たらへんよ〜…」

「帰るしかあるまい。
ここに長居するのは悪いからな…」


そう言って立ち上がる龍漸。
それを見てお京は、はぁとため息をつき、立ち上がった。



「んじゃぁ、行くね。あんま無理しちゃあかんよ!」

『うん。わかった』

「また来る…」


そう言い、部屋を出て行く龍漸。
それについて行くお京。





部屋にひとりだけになり、急に寂しくなった。



そうなると、いつものように負の方向へ物事を考えてしまう…


わたしは明日ちゃんと存在しているだろうか…?
明後日、明々後日……


怖くてたまらなかった。



「…っ…柚子。」

誰かに名前を呼ばれ、はっとする。


『誰!?…』

「柚子、裏庭に来て…」

『え?』

「柚子には時間がないの……はやく…はやく来て!」

『え…ちょっと、誰?』


そこでその声は聞こえなくなった。


誰かがわたしを求めている。
こんなわたしを求めてくれてる。


わたしは部屋を後にした。





心友-アンシン-
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