華咲く乙女の運命

□-伍-
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 今度こそ… もう少し…




『はっ…』

わたしは飛び起きた。


違う…いつもの夢じゃない…
あの声が…

“もう少し…”

なにが…もう少し…?



「起きたか」

『!?』


いきなり話し掛けられ、ドキッとする。


「そんなに恐い顔すんな。」

妖しげな笑みを浮かべた男が扉に寄りかかっていた。


「にしても、お前何者だ?」

『へ?』

「見た事もねぇ服来てやがるし、見ねぇ顔だ…」


変な物でも見るような目で見てくる。


いやいや、こちらからしたら貴方は何者なんですか。だよ…

とは言えず、戸惑ってしまう。

「はやく言え。バラされてぇのか…」


と言われ、睨まれる。


恐!!恐すぎる……
でも…バラされてぇのか。ってどうゆう事だろう…?
それより、はやく言わないと…


『えーと…』

「……」

『わたしは…柚子と申します。』

「……柚子…か。」


なんだろう。さっきの間は…?
何か変なこと言っただろうか…?


「それから…柚子、お前の病気は治しておいた」

『え…!?』

「だからといって、柚子はまだココに……」

『ちょっと待ってッ!!』

「…?」


無表情でわたしの答えを待つ男。


『わたしの病気を治したって、どういう事ですか!?』

「…そうゆー事だ。」

『いや、だって…わたしの病気は治らないって……お医者様が……』

「治らない…?お前の国の医学はどーしてやがる…?」

『え…』

「単なる“肺炎”だ。」



……はいえん?
聞いたことない病名……
この人いったい何者なの!?



『………はいえん?』

「あぁ。」


男は真顔で答える。


この表情からして嘘ついてるとも思えないし…
本当なのかも?
それなら、お礼言わないと…


『治していただき、ありがとうございます。なんとお詫びしてよいか……』

「医者として当然の事をしただけだ。」


……医者?この方が!?


とてもそのようには見えなかった。


「だが、少しの間はココにいてもらう。」

『それは何故ですか?』

「治ったって言っても完全にじゃねぇ…」

『……』


と、その時……


「キャプテン!!!」


扉の向こうから呼び声がする。


「なんだ?」

「今すぐこっちに来て下さいよー!……」




龍漸や、お京、お城のみんな心配してるだろうな…


向こうが話しているときにわたしはそんな事を考えていた。




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