華咲く乙女の運命
□-弐-
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「柚子。具合はどうだ…?」
『あ!』
龍漸とお京が廊下に立ってこちらを見ている。
「滝川殿、お京様。よくおいでに来られました。
では、邪魔者はこれで…」
そう言って爺は出ていった。
『どうぞ、中に入って』
二人は自分の好きな所に座る。
「ねぇ、柚子。体、大丈夫なん…?」
とても不安そうな顔してわたしの目の前に座ってくる。
『大丈夫だよ、お京。』
「それならええけど…無理したらあかんで!!」
『うん。わかった。』
「お前の病は治るものなのか…?」
壁に寄り掛かり、話してきたのは龍漸だった。
『…うん!大丈夫。治るわ…』
嘘≠ツいた。
この2人だけには心配かけたくなった。
「…そうか。」
『2人とも心配しすぎだよ!』
二人はとても優しい。
優しすぎて、今のわたしには苦しい。
そして、三人でいろんな事を話した。
お京はいつも楽しみにしている異国の話。
龍漸は本で読んだ話をしてくれる。
わたしはこの時間が大好きだった。
病の事もこの時間では忘れられた。
でも楽しい時間はあっという間に過ぎていく…
。