騎士たちの集会所(Knight 短編小説)
□騎士と不死鳥姫(静砂様とのコラボ小説)
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―― 赤く光る漆黒の髪。美しい紅色の瞳。
そして……
人はその少女を、こう呼ぶ。
―― 不死鳥姫。
騎士と不死鳥姫(星蘭×静砂様)
本日も晴天。ディアロ城の騎士たちは、ある任務に向かっていた。
ことの発端は、数時間前にさかのぼる。
「フィア、陛下が呼んでたぞ。早く行け」
「え……わ、わかった」
自主訓練をしていたフィアは、仲間に呼ばれて驚いた顔をした。
この国の王女、ディナが突拍子もないことを言い出すことは、最近になってよくわかったのだが、こんどはなんだろう。
フィアは首をかしげつつ、王女のいる部屋に向かった。
「あれ……なんでお前たちまでいるんだ」
王女の部屋についたフィアは首をかしげた。というのも至極もっとも。シストとルカもいたのだから。
「陛下に呼ばれたんだ」
「どうせフィアもだろ??」
「どうせって……まぁ、そうだが」
一体何の用事だろうかと三人が考えていると、三人を呼び出した張本人がやってきた。
「そろったみたいね。今日は雪狼の貴方達にお願いしたいことがあって」
にこにこ笑いながら、ディナ王女は言った。
「今日ね、隣国でパーティがあるのよ。私の友人が主催なんだけど、それに行きたくてね…」
「り、隣国って……」
フィアが目を見開く。ルカとシストも驚いている様子だ。
「陛下、陛下がおっしゃっているのは、王都カルファスの事ですよね……」
「えぇ。そうよ……今少々治安が悪いけど、もともとはとても素敵な国よ?」
無邪気な笑みを浮かべる王女を見て、騎士たちは溜息をついた。
「……危ないのでは?」
「だからあなたたちを連れて行くのよ?本当は一人で行こうと思ったのだけれど……」
「「「それだけは勘弁してください!!」」」
三人の声が綺麗に重なる。それを聞いてディナは“仲良しね”といって笑った。
カルファス、というのはこの国の隣、海に面した港の国で、漁で栄えている。
しかし、近年は、海賊が多く出るということで、少々治安の悪化が懸念されている国だ。
お世辞にも、王女一人で安全に出歩ける街とは言えない。
「……わかりました。お供しましょう」
「ふふ……ありがとう」
そんなこんなで、ルカ、フィア、シストはディナ王女とともに、王都カルファスに向かうことになったのである……