騎士たちの集会所(Knight 短編小説)
□thank you my family!
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thank you my family!
うららかな光があふれるある日の午後。
雪狼のセラ、ルカは従妹を探して歩き回っていた。
「ったく。さぼりとはいい度胸だな……俺が探してくるから、お前らは自力で訓練しててくれ。
シストも、フィアが戻ってくるまで他のやつとやってろ」
そう言って、ルカはフィアを探しに来たのだった。
訓練の時間になっても現れない従妹。普段こんなことがない分、少々心配していることもあったが……
フィアがよく行く場所を探して歩き回った。
図書館(本を読むのが好きだからだ)、草鹿の棟(アルと一緒に遊んでいるというのがありうる)、食堂や、救護室にも行った。
「……あのやろ。どこいってんだよ」
さすがに不安にもなってきた。
そして、最後に向かったのは中庭。
「…いたし」
いた。どれだけ呼んでも反応しないわけだ。
フィアは木によりかかってぐっすりと眠っていたのだから。
「いい御身分だな」
ルカは溜息交じりにフィアを揺り起そうとした。
「……ルカ」
「……ん?」
寝言、のようだった。
「大好き……」
「!!……不意打ち。ふざけんなよ」
さすがのルカも驚いた。
普段起きているときは間違っても“大好き”なんて言葉、フィアの口から出るはずがないのだから。
「……ったく。どんな夢見てんだよ」
ルカは呟きながらフィアの隣に座った。
と……
ぐらり、とフィアの体が傾いて……
「……はぁ」
フィアがルカの方によりかかる形になった。