騎士たちの集会所(Knight 短編小説)
□Time arrow ― 過去と現在そして… ―
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Side ルカ
「アンバー?来たぞー?……あれ?」
ある晴れた日の午後のこと。
俺はアンバーの研究室に行った。なんか、見せたいモノがあるから来いと言われていたんだ。
でも、いってみても誰もいないし。
「ったく……忘れてんのかな」
アンバーはよくやらかす。約束したことを忘れて、遊びにいってしまったり。
もういい加減に慣れてきたんだけど。
とはいえ。この部屋には面白いものが山のようにある。
もっとも、全部アンバーが作ったモノだけどな。
たとえば、触れると逃げ出すぜんまい仕掛けの人形とか。
適当に見て回ってみると…ペットボトルに入った、水。
―― そう言えば、のど乾いたな……
勝手に飲むのはどうかと思ったが、本当にのどが渇いていたんだ。
俺は、そのボトルの水を飲んだ。
水道はあるんだから、それを飲めばいいって?
それはできない。この部屋の水は飲むなと散々アンバーに言われているからだ。
何でダメなのか、未だによくわからないけど。
「……っ?!」
不意に、視界がゆがんだ。
くらくらして、立っていられない。
何でだよ。やっぱり、飲んだらまずいものだったのか?
アンバーはジェイドと違って、ろくでもないもの作るからな……毒薬とかだったらどうしよう。
なんて。冷静に考えている自分が怖い。
あぁ。意識が揺らぐ……
ドアが開いて、誰かが入ってくる気配を感じた。アンバーか?それにしては小さい気が……
確かめる間もなく、襲ってくる睡魔に勝てず、俺は意識を手放した。